私が入学した頃の早稲田大学商学部には佐藤孝一先生、青木茂男先生(日本会計研究学会第2代会長・元企業会計審議会会長)、染谷恭次郎先生(日本会計研究学会第4代会長)、新井清光先生(日本会計研究学会第7代会長・元企業会計審議会会長)などキラ星のごとき先生たちが在籍していました。
私が会計に目覚めたきっかけは商学部3年の時に佐藤孝一先生の講義を受けたことです。佐藤先生の講義は情熱に溢れ本当に素晴らしいものでした。それまでは「会計」というものには良いイメージは持っていませんでした。鼻の頭にめがねを引っかけ腕に黒いカバーを付けて背を丸めて算盤を弾いている姿しか思い浮かびませんでしたから。「他人の仕事を後で整理する」というイメージしか持っていなかった私に、「会計とはまさに企業の活動と表裏一体である」という、その原点を教えてくれました。佐藤先生との出会いがあったからこそ、その後の私は会計を真剣に学ぶことになったのです。
さらに佐藤先生からは「公認会計士」という資格があること、公認会計士試験は司法試験、外交官試験と並ぶ難関であることを教えられました。私は公認会計士試験こそチャレンジのしがいがある資格だと、その時思ったのです。私は早速、青木茂男先生の大学院生が組織した早大CPA受験研究会に入会しました。CPA研究会とは公認会計士試験に合格した先輩が後輩を指導する受験指導の会です。会は成績が悪いメンバーを次々に振り落としていきます。入会したとき44人いたメンバーは6カ月で14人にまで減り、学部生で残っていたのは私だけになりました。