【森本】 まず、サイバーエージェントでベンチャーキャピタル事業をスタートさせた経緯からお聞かせください。
【西條】 これまで、サイバーエージェントは大きな買収をせず、自分たちの手で生んだ事業を育成する道をとってきました。この「小さく生んで大きく育てる思想」と「事業の育成ノウハウ」をベンチャーキャピタル事業に活かせないかと考えたのが事業開始のきっかけです。まずはじめに、2004年の10月、1本目のファンドである「サイバーエージェントCA-T投資事業有限責任組合」を18.1億円で組成しました。その後2006年4月に「サイバーエージェント・インベストメント」というベンチャーキャピタルを設立してベンチャーキャピタル事業を本格的に展開するようになりました。
【森本】 サイバーエージェントのベンチャーキャピタル事業は、具体的にどういう活動を行っているのですか。
【西條】 我々は、インターネットビジネスに特化してベンチャーキャピタル事業を行っています。我々は本業でインターネットビジネスのほぼ全域をカバーしていますから、そうした事業の目利きとか、インキュベーションは得意分野になります。インターネットビジネスはまだ業界そのものの歴史が浅く、今後もさらなる成長が期待できます。インターネットビジネスの経験豊かな我々が、「経営者の能力」、「事業の将来性」、「想定しうるリスク」など成功に必要な要素を緻密かつフェアに判断し、資金提供を行っています。
【森本】 投資ポリシーには特徴はあるのでしょうか。
【西條】 投資ポリシーとしては、やはり、インターネットビジネスに特化するということが第一です。つまり、自分たちがわからないものには原則として投資をしないということです。たとえば、インターネットビジネスに関するものでも、セキュリティの会社とか半導体の会社などがたまにあるのですが、こういった分野については、我々はあまり得意ではないので、投資に至らないケースが多いですね。我々が得意なのは、C to C、あるいはB to Cのサービス系事業です。
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