【森本】 インスパイアは、さまざまな分野、角度から企業経営のコンサルティングを展開していますが、そうした活動の中でベンチャーキャピタル業務をスタートさせた契機はどのようなところにあったのでしょう。
【芦田】 現在2つのベンチャーキャピタルファンドと流通業、製造業など実業型公開会社の活性化ファンドを立ち上げていますが、創業者の成毛眞は、インスパイアの設立時から、すでにベンチャーキャピタル業務のプランを持っていました。2000年にインスパイアを設立する際、成毛から私に特別顧問になってほしいという話をいただいたのですが、その時、中小企業の国際競争力の向上を目指すベンチャーキャピタルファンド組成の計画の話もされていました。当時、私は住友商事の副社長でしたが、ITを使って企業競争力の強化を図るサプライチェーン・マネジメントを住友商事で導入するプランを進めていました。住友商事では各部門の代表からなる約60人のメンバーを投入してサプライチェーン・マネジメントを実施して、現在では、このサプライチェーン・マネジメントの仕組みは、7,000億円くらいの商流規模に成長していると思います。成毛にそうした取り組みの話をしますと、サプライチェーン・マネジメントのシステムを中小企業の競争力向上にも役立てられるのではないかと提案してきました。それは私も同様の考えを持っていましたので、すぐに賛同したことが、一つ目のファンドである実業型公開企業活性化ファンド組成(ジャパン・ストラテジック・IT1号ファンド)の契機になっています。
【森本】 このファンドは、7年前の2000年にスタートしていますね。
【芦田】 住友商事からは5億円を出資しました。NECからも5億円の出資をいただき、東京電力からは最初10億円の出資の申し出がありましたが、5億円で結構ですということで、5億円出資いただきました。そのほかにも、多くの事業会社から資金を集めて運用をスタートしています。最終的に約60億円が集まりました。
【森本】 そのファンドは、インスパイア本社による運用だったのですか。
【井出】 はい。1号ファンドは、インスパイア本社と現在のNIF SMBCベンチャーズが共同GPとして組成・運営したファンドです。正式には、「ジャパン・ストラテジック・IT1号ファンド 」という名称で、製造業、流通業などオールドエコノミーに分類される企業に対し、IT等を導入し、事業の活性化を図るファンドでした。2号ファンドの「インスパイア・アドバンスド・テクノロジー・ファンド」はインスパイア・テクノロジー・リソース・マネジメントというインスパイアの子会社によるものです。3号ファンドの「インスパイア・テクノロジー・イノベーション・ファンド」(イノベーション創出支援ファンド)は、やはり、インスパイアの子会社であるインスパイア・インベストメントが運営しているファンドです。
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