【森本】 そうした組織体制で運用するファンドにはどんなポリシーがあるのでしょうか。
【高橋】 弊社のファンドは、基本的に目的別につくっております。たとえば、ジャフコさんでしたら、お金をベースにして投資するという形ですが、うちは、投資がベースになったファンドを立ち上げています。現在ファンドは14本ありますが、全部、特定の目的があってつくられた非常に特徴のあるファンドです。
【森本】 具体的にはどのようなファンドがありますか。
【高橋】 まず、USEN様とりそな銀行と弊社の3社でつくったファンドですが、これは、USEN様の強い分野の企業に特化して投資しています。また、デジタルガレージ様とりそな銀行と弊社の3社で出資したファンドは、デジタルガレージ様が得意なIT関係の企業に特化して投資しています。そのほかにも、埼玉りそな銀行や、近畿大阪銀行などと組んだ、地域に特化したファンドもあります。比較的狭い範囲で特化した業種や地域にあわせてファンドを構成しているのが弊社の特徴といえます。
【森本】 ところで現在準備なさっているファンドはこれまでとは違った形のものになるとお聞きしていますが。
【高橋】 はい。りそなグループで初めて外部の出資を募ってファンドを立ち上げます。中小企業基盤整備機構を活用して、機構から10億円を出資していただき、弊社が10億円、りそな銀行からも10億円を出資して30億円のファンドをつくります。これは、機構のもつ支援機能と、弊社やりそなグループが従来からもつ成長支援機能を有機的に結合させて、強力なベンチャー支援体制をつくろうという狙いがあります。ですから、特定の地域や業種にこだわることのない、成長支援を切り口にしたファンドになります。6月の頭くらいにはスタートできる予定です。
【森本】 外部出資者の募り方にはどのような方法をとっているのですか。
【高橋】 投資家に広く募集をかけて、資金を集めてファンドを立ち上げる手法は取ってはいません。ファンドの特定の目的に合った最適な方を一人か二人入っていただきファンドをつくっていくというのが私どものスタンスになります。
【森本】 今回の新しいファンドで、成長支援に着目したポイントはどんなところにありますか。
【高橋】 まず、私が銀行員時代にベンチャー支援事務局をつくった時に、企業の評価には力を入れても支援は全然できていなかったという反省があります。お金を出すことも重要ですが、結局は、お互いがパートナーとして一緒に成長していかないと、全然共感を得られないわけです。投資先からも単に儲けるために投資しているのでしょ、と言われるだけになってしまいます。
【森本】 ベンチャーキャピタルという狭い業界の中で、あそこは儲けることしか考えていないという情報が広がることは避けたいことですね。
【高橋】 はい。成長支援するからこそ収益が上がるのだということを徹底したわけです。それが今回のファンドに込めた一番のコンセプトになります。
【森本】 なるほど。
【高橋】 また、経営者の目からすると、成長支援は、投資企業が大きくなって収益の源泉になると同時に、弊社の投資リスクを減らす二重の意味のメリットがあります。投資企業と弊社の双方がハッピーになれるWIN−WINの関係もつくれるわけです。 |