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VC vision
前編 後編
第12回 ブレイブ・ニュー・ベンチャー 後編 インターネットのリーディング
株式会社サイバーエージェント・インベストメントのキャピタリストは、
若い世代で占められているのが特徴だ。
これは、インターネットビジネスが、こうした若い世代に支えられていることを
よく示す事例とも言えるだろう。
インターネットビジネスをめぐる環境の変化と、
それに対応するインターネットに特化するベンチャーキャピタルの課題について、
有意義な話を聞くことができた。
interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
投資先一覧
インターネットに精通したキャピタリスト

【森本】 サイバーエージェント・インベストメントはインターネットに精通したキャピタリストの養成に向けて、何か特別なトレーニングなどをされているのでしょうか。
【西條】 社内では、毎週月曜日に、勉強会を開いて投資先やマーケットの最新情報についての学習や意見交換をしています。こうした新情報について私がみんなに言っていることは、まず、自分でそのサービスを使ってみることです。頭で理解するだけでなく、自分自身で体感してほしいということですね。投資委員会で案件を検討する際、大手ベンチャーキャピタルですと、最終意思決定する役員の方々が実際にそのサービスに触っているというケースは少ないはずです。当社では、私もそうですし、サイバーエージェント代表の藤田晋でも、一ユーザーとして、そのサービスの良否を判断しています。この点は、結構特色だと思っています。
【森本】 案件の発掘にはどのような方法をとっていますか。
【西條】 基本的には人脈を通じた紹介です。一般に、成功をしている経営者の周りには、優秀な人材が集まるものですから、そういう経営者は大事にしています。あと、藤田を通じた案件も来ますが、やはりこうした人脈を通じた案件は、投資に至る確率も高いですね。
【鈴木】 また、実際に使ってみたサービスで良いものがあれば、そこにコンタクトすることもあります。
【森本】 実際に自分たちで使ってみたサービスを通じて案件を探すというのは、御社の特徴的な手法だと思いますが、それは件数的にはどの程度を占めているのですか。
【西條】 検討段階の案件では、それが圧倒的に多いですね。ほとんどがそうといっていいかもしれません。月間100件以上の企業の中から厳選して投資を行っていますが、多業種の100社ではなく、インターネットビジネスの約100件の中から厳選して投資を行っていますので質の高い企業への投資を行っていると思います。

ビジネスネットワークに加え場やノウハウの提供を

【森本】 投資先でIPOした会社についてお聞かせください。
【鈴木】 2004年にベンチャーキャピタル事業を開始してから、約2年で6社のIPOが実現しました。株式会社ドリコムにはじまり、株式会社オウケイウェイヴ、株式会社ミクシィ、株式会社インタースペース、株式会社ウェブドゥジャパン、株式会社AQインタラクティブです。ドリコム、オウケイウェイヴ、ミクシィは2006年にWEB2.0関連でIPOを果たした代表的な会社かと思いますが、実際にコミュニティビジネスがビジネスとして成り立つかどうかわからないと言われていた2004年頃にそのようなビジネスにリスクをとって投資をできたのも、インターネットビジネスをよく理解したサイバーエージェントならではの投資スタイルであると思います。
【森本】 実際に投資したあとの話になりますが、育成については、どうされているのですか。
【西條】 インターネットビジネスの成功に他の企業との協業は欠かせないと思います。サイバーエージェントグループが持つビジネスネットワークに加え、取引先・アライアンス・パートナーなどを通じた場の提供、および最新のインターネットユーザー動向などビジネストレンドの提供を行っています。
【鈴木】 つい先日も、サイバーエージェントの子会社や事業責任者と投資先の経営者約100人を集めて交流会を実施させていただきました。その交流会では投資先でIPOした経営者を集めて「ベンチャー企業の組織マネジメント」というテーマでパネルディスカッションを実施したのですが、新規事業の立ち上げ方法や優秀な人材の採用方法など、これからIPOを目指す経営者が明日からすぐに使えそうな実践的なノウハウが飛び交いました。
【西條】 また、サイバーエージェントには、ネット広告の営業部隊に300人規模の人員がいますので、営業面のお手伝いをさせていただくケースが多いです。
【鈴木】 私はインターネットメディアを運営している会社へ投資しているのですが、投資後、営業面でのサポートをし、サイバーエージェント経由の売上が投資前に比べて約7倍以上に上がったケースもあります。もちろんサイバーエージェントがサポートしやすいサービスとそうでないサービスはありますが、インターネットメディアのサービスを行う投資先ですとアライアンス等で成功している事例はいくつかあります。
【西條】 また、投資先の戦略会議や取締役会などに参加させていただき、既存事業のテコ入れや新規事業を提案したり、場合によっては、投資先に人を出向させるケースもあります。実際にインターネットビジネスに携わった経験のある人間が多いことも一つの強みだと思います。
【鈴木】 私はベンチャーキャピタル事業に携わる前はサイバーエージェントで金融事業(外国為替保証金取引サービス)の立ち上げを担当し、ドメイン取得からシステム、WEBサイト制作、キャンペーン企画、セミナー企画などインターネットビジネスの裏方の部分までかかわっていましたが、投資先の経営者と話していると、そのような新規事業の立ち上げの経験が役に立っていると実感することが多いです。実際にユーザーをどう獲得するか、どうやってユーザーをアクティブにしていくか、ベンチャーキャピタルから資金調達した資金のうちいくらをネット広告に使うか、どういうプロモーション策をとれば実際にお金を落としてくれるユーザーを集客できるか、モバイル事業をどう展開するかなど、かなりつっこんだ話は実際にインターネットビジネスに携わった者だからこそできるものであると考えます。


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