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VC vision
前編 後編
第12回 ブレイブ・ニュー・ベンチャー 後編 インターネットのリーディング
株式会社サイバーエージェント・インベストメントのキャピタリストは、
若い世代で占められているのが特徴だ。
これは、インターネットビジネスが、こうした若い世代に支えられていることを
よく示す事例とも言えるだろう。
インターネットビジネスをめぐる環境の変化と、
それに対応するインターネットに特化するベンチャーキャピタルの課題について、
有意義な話を聞くことができた。
interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
投資先一覧
自前のパーツと投資先の事業を結びつけられる

【森本】 投資先の企業価値を高める点でのノウハウはどのように確立していますか。
【西條】 当社のノウハウは、広告代理事業やメディア事業を実際に展開していて、そういう自前のパーツと投資先の事業を結びつけられる点だと思います。
【鈴木】 当社はグループで数十のプロジェクトが動いており、各事業の最先端の情報が入ってきますので、最新のインターネットユーザー動向やネット広告のトレンドを投資先へ提供したりしています。たとえばインターネットメディアを運営している会社でPV(ページビュー)はあるけどなかなか収益に結びつかないという会社へ新しい収益源となりうる事業を提案し、広告メニューを開発したり、現存のユーザーをアクティブにする仕組み作りのご提案をしたりしています。ベンチャー企業だとインターネットメディアや広告に詳しいプロデューサーや営業を自前で採用することが難しい場合もあると思います。そのような会社にこうした提案をすることで、有意義な付加価値を提供できると考えています。このようにインターネットメディアの新しい収益源を提案し、実際に売上があがったという経験が本当のノウハウになると考えており、そのノウハウを今後とも投資先へ提供していきたいと思っています。
【森本】 今後の展望は、どのように考えていますか。
【西條】 今のスタイルは変えずに精度を高めていき、他社がとれないリスクを早い段階からとり、高いパフォーマンスを狙い、国内No.1のインターネットビジネスに特化したベンチャーキャピタルを目指していきたいと思っています。また国内のみならず、現在の中国展開を皮切りに、海外への投資を積極的に行い、グローバル展開も視野に入れて活動していきます。


インタビューを終えて

事業社系ベンチャーキャピタルの多くは、産業界の足場をしっかり根付かせた中堅から大手企業によるものが主流だが、サイバーエージェントは、創業してまだ10年足らずの若い企業だ。その代表取締役もまだ30代と若い世代に属する。こうした若い世代の人間が、同じ若い世代の起業に積極的に力を貸していこうとする姿は、これからの日本の産業界が大きく変化してきている一端を見せているといえる。もはや、熟年世代では理解し得ない部分が広がりつつあるIT・インターネットビジネスが、これからの日本のビジネスをどう変えていくのか、また、今後規模がさらに巨大化していくというIT・インターネット業界をめぐるベンチャー投資への対応などといった新たな課題に向けて、日本のベンチャーキャピタルはその姿を大きく変えざるを得ない局面におかれているのである。(森本紀行)

次号第13話(3月7日発行)は、日立製作所株式会社の広瀬正さんが登場いたします。


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