【森本】 中小企業基盤整備機構のファンドの出資活動は、どのようなプロセスで進められているのですか。
【石井】 ファンド事業は、ベンチャーキャピタルが組成するファンドで、政策的意義があるものにLPとして出資するスタイルで運営しています。ファンドは、投資事業有限責任組合の仕組みを使ったものになります。期間は原則10年間、出資比率はファンド総額の5割までとなっています。出資上限額を今まで10億円と制限していたのですが、業界の要望を受けて、今年の4月から撤廃しています。ファンド出資までのプロセスですが、基本的には、持ち込まれた案件については、すべてお会いしてお話をうかがうことになっています。手順としては、まず最初に、事前相談を受け、制度要件に合致すれば提案書を受け付けます。その後、1次ヒアリング、現地調査、外部有識者を集めた評価委員会での検討と続きます。そして、当機構の役員による2次ヒアリングを経て出資決定する段取りになります。こうした審査の後、契約に関するリーガルチェックを行って実際の出資となります。
【森本】 それでは、それぞれの段階を具体的にご説明いただけますか。
【石井】 現在、中小企業基盤整備機構には、アーリーステージの企業を支援する「ベンチャーファンド」、中小企業の新事業展開を支援する「がんばれ!中小企業ファンド」、事業の再構築を支援する「中小企業再生ファンド」、地域の中小企業の活性化を促進する「地域中小企業応援ファンド」の合計4つのメニューがあり、その選択から始まります。
【森本】 ベンチャーキャピタルの人たちにとっては、これらのファンドメニューの違いや、使うにあたっての基準を知りたいと思います。
【石井】 そうですね。ですから、事前相談という形でお話をさせていただき、制度の条件を満たしているかどうかチェックすると同時に、どのファンドメニューが適切かを確認します。そうした相談を経て、具体的な提案書の作成をお願いすることになります。提案書は、通常の民間のLPが、出資審査する際に見るものと同様の様式になっています。ただ、一点異なるのは、政策的意義の確認です。つまり、中小企業の成長や新事業展開、産学連携、地域振興などの促進に役立つファンドかどうかを注意深く見ることになります。1次ヒアリングでは事務担当が、提案書とベンチャーキャピタル独自のプレゼン資料で説明を伺います。現地調査は機構の職員と監査法人とが一緒にベンチャーキャピタルを訪問して、経営状況、キャピタリストの陣容などを見るものです。
|