【森本】 まず、設立の経緯と、日立本社とはどのような位置づけにあるのかというところからお聞かせください。
【以頭】 ネクスト・ファンドは2005年5月にスタートしていますが、私たちがファンドのプランを立案した時期を含めると、さらにその1年前の2004年の初めころから計画は始まっていたといっていいと思います。時期としては、いざなき景気を超える長期間の景気上昇がちょうど始まったころでした。このファンドを設立したときの問題意識は、大企業の自前主義を破って、中小企業を含めた社外にもイノベーションの芽を求める必要があること、そして、それが同時に中小企業の底上げにつながるのではないか、ということでした。当時、伊藤忠グループなどでも中小企業基盤整備機構の「がんばれ!中小企業ファンド」の枠を使ったファンド展開が進められていて、日立グループでもそうしたファンドができないか、という話がありました。具体的には、日立が運用するファンドを立てて、日立と中小企業基盤整備機構が出資して、中小企業・ベンチャーに投資していくスキームを作れないかということでした。
【森本】 そのころ、日立本社では、すでにコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を展開されていたわけですね。
【以頭】 はい。CVCと新しいファンドの関係ですとか、新たにファンドを作る意味についての議論をしました。結論的には、ベンチャー企業を含めた中小企業を支援するということと、その投資案件を日立グループが活用するという2本柱で、日立製作所のCVCとは別に独立させたファンドの設立が、経営会議で認められてスタートすることになりました。そこで、ネクスト・ハンズオン・パートナーズというベンチャーキャピタル会社を立ち上げたということです。
【森本】 以頭さん自身が、日立本社内で提案して実現したのですか。
【以頭】 CVC室の立場でファンド準備室を作り、そこで10人弱のメンバで半年間検討しました。そして提案書を作り、日立の経営会議に提案しました。しかし、最初のきっかけは、日立製作所の庄山社長(当時)のもとに来た中小企業庁からの打診だったと思います。その後、社長から検討せよとの指示がCVC室に下りてきて、そこからさきほど話したように検討して提案したのです。ただ、日立グループのそれ以外の部署にもいろいろなルートで話が行っており、検討の過程で多くの方の支援がありました。それらの方々の意見も採り入れながら、CVCの準備室で計画を練り承認まで漕ぎ着けたということです。私の着想で私ひとりで提案して実現したということではもちろんありません。
【森本】 以頭さんは、日立本社のCVC室に在籍されていたのですね。
【以頭】 はい。そして、この提案したファンド事業をスタートするため、ネクスト・ハンズオン・パートナーズ株式会社を立ち上げることになり、私は出向で日立製作所から移ったということです。
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