【森本】 2006年に設立された新規事業投資1号ファンドのコンセプトはどういうものですか。
【酒巻】 このファンドは、日本政策投資銀行として継続してベンチャー投資をしていくための仕組みとして考えているものです。
【森本】 ファンドの規模はどれくらいですか。
【酒巻】 コミットメント総額が40億円です。現在2年半経ったところで半分強の投資を終えたところです。10年満期のファンドですので、3年から4年で投資ステージを終えたいと考えています。
【森本】 これもスタートアップが対象ですか。
【酒巻】 いえ、こちらのファンドは、我々金融投資家の目線で投資ができる案件に投資をしていくものと位置づけています。私個人としては、アーリー、ミドル、レイターといった成長ステージからベンチャー企業をみるというよりも、イグジットからさかのぼってどのポジションにいる企業なのかで投資を考えるようにしています。
【森本】 金融的な見方ということですね。
【酒巻】 ええ。具体的には、投資してから3年から5年で何らかのイグジットができる案件に投資していく形を目指しています。そういう観点からすると、現実に検討する企業には、設立してから1年の企業もあるし、逆に5年、10年という歴史を持っている企業もあります。
【森本】 現在、御社の従業員は何名いるのですか。
【酒巻】 役員を除き従業員は、全部で15名程度で、投資部と総務部の二つに分かれた組織構成になっています。総務部の中にはリビングデッドの案件の処分、それから上場した案件を市場で売却するといった投資管理をする者もいますが、基本的に、投資部がすべての投資についての投資活動とモニタリングを行っています。
【森本】 投資部の担当者は何名いるのですか。
【酒巻】 8名います。
【森本】 投資部のメンバーは、日本政策投資銀行からの出向者が多いのですか。
【酒巻】 ええ。基本的にはほとんどが、日本政策投資銀行からの出向です。
【森本】 酒巻さんは、新規事業投資に来て何年になられますか。
【酒巻】 ちょうど1年半くらいです。ただ、ここに来る前は、日本政策投資銀行のロサンゼルス駐在事務所の所長を3年間していまして、また、その前の4年間は、新規事業部でベンチャーへの融資とベンチャーファンドへの出資を担当していましたから、ベンチャーに関わっていたということでは、5年くらいの経歴があります。
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