【森本】 カーライル・ジャパン・エルエルシーは、日本法人として独立しているのですか。
【吉崎】 はい。ただ、我々のグロース・キャピタルチームは、アジアのチームの一環として存在しています。「カーライル・アジア・グロースパートナーズ」は、日本、韓国、中国、インドの4カ国で展開していて、それぞれの現地にベンチャーキャピタルの経験者がスタッフとして常駐して投資活動をしています。ファンド総額は、6億8,000万ドル(約750億円)の規模です。組成されたのは2006年です。現在までの2年弱で、かなり投資も進んでいます。このファンドで、投資1件あたり、下は1,000万ドルから上は5,000万ドル、日本円で10億円から50億円程度の投資を実施しています。
【森本】 欧州、米国などの地域にはまた別のファンド展開があるわけですね。
【吉崎】 そうです。カーライル・グループの場合、グローバルなプラットフォームでありつつ、ローカライゼーションを掲げていますので、現地で完結する体制をとっています。日本には日本人スタッフしかいません。ローカルで活動してローカルで投資をする形です。ですから、ファンドもローカルで作っていきます。バイアウトファンドについては、日本専用のファンドを作っていますし、米国ではベンチャーファンドもあります。最近では、中東でもファンドを組成しています。
【森本】 アジアのファンドは出資者もアジアの人たちなのですか。
【吉崎】 出資者に関しては、必ずしもそうではありません。投資家はカーライル・グループとして募っているので、ファンドレイズチームがまた別にあります。彼らが年間365日、世界中の投資家に接見して出資を募っています。ですから、我々投資のプロフェッショナルは投資家の日々の動向は追いかけていません。この投資と投資家対応が分業されている点は、カーライル・グループが最も進んでいる点で、カーライル・グループの特徴でもあると思います。
【森本】 ファンドの規模はどこで決定されるのですか。
【吉崎】 最終的には、カーライル・グループの創業者3人により決定されます。アロケーションのようなものが決まっているわけではなくて、ニーズと実績に基づいて、その地域での投資規模が決まってくるという感じです。
【森本】 ファンドは現在一つだけですか。
【吉崎】 はい。「カーライル・アジア・グロースパートナーズV」だけです。我々は複数のファンドを同時並行的に運営できませんので、投資がある程度終わったところで、次のファンドの組成をする形になります。
【森本】 アジア全体の中で、日本での投資は何割ぐらいを占めているのですか。
【吉崎】 初めからシェア配分を決めているわけではありませんので、結果ベースになりますが、現在の投資ペースでは、だいたい3分の1が中国、3分の1がインドで、残りの3分の1を日本と韓国で半分ずつ分けあうという配分になっています。
|