インターネットで起業しようと思い立ってはみたものの、私にはネットの知識も学歴もありません。そこでサイバーエージェントに入社するには藤田晋社長と直接お会いして熱意を伝えるしかないと思ったのです。自分の思いを履歴書4枚にびっしりと書き込んで東京に出かけました。そこには「営業成績でトップになるまでは給料はいりません」、「週に122時間働きます」、「経費はすべて自分で持ちます」、「営業でトップの成績を取れなければいつでもクビにしてください」と、リスクはすべて自分で取るという提案を書き連ねました。
東京に着くと、サイバーエージェント本社が入る渋谷のマークシティへ向かい、正面玄関で藤田社長を待ちました。しかし、藤田社長は現れませんでした。友人に尋ねると、社長は正面入口ではなく社用車の出入口から入ってくるだろうと言うのです。そこで、翌日は裏口で待ちました。それでも藤田社長に会うことはできませんでした。そこで、サイバーエージェントのオフィスに乗り込むことにしたのです。その日は土曜でしたが社内には何人もの人が働いていました。そして、入口から一番近い机の上に履歴書を置いて帰ってきました。
後日、サイバーエージェント社から不採用の手紙が届きました。営業は諦めないことが肝心ですが、引き際も大切だと思っていましたのでサイバーエージェントへの就職はスッパリと諦めました。かなり後になって藤田社長と会う機会があったので自分の履歴書のことを尋ねてみたことがあります。「そんな履歴書は見たこともない」という答えをいただきました。
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