【森本】 投資戦略について、どのようなポリシーをお持ちですか。
【仮屋薗】 特徴は、「フォーカスド・インダストリー」「マルチステージ型」です。フォーカスしている産業セクターは、大きく3セクターです。一つは我々の一番の強みであるIT関連産業。ソフトウェア、 ITサービス、インターネットサービス関連、そしてデジタルコンテンツなどです。人事ERPのワークスアプリケーションズ社、WEBソリューションのアクシスソフト社、デジタルアニメーションのGDH社などに投資しており、最もパフォーマンスがよいセクターですね。もう一つがR&Dベース企業で、携帯のデジカメを作っているアキュートロジック社、ロボット開発のゼットエムピー社、光ファイバー開発ののぞみフォトニクス社などです。三つ目が、ニューサービス。ゲストハウスウェディングのディアーズ・ブレイン社、ベーグルのドリームコーポレーション社など。このセクターは定義が難しいところですけれども、規制緩和やテクノロジーの変化によって生みだされてくる新たな産業ととらえています。
【森本】 あえて踏み込まない分野はありますか。
【仮屋薗】 大型の設備投資を必要とするような高固定費型の製造産業には投資をしないですね。R&Dやバイオの分野には大規模な100億円レベルの案件がありますが、これらも弊社では手がけていません。
【森本】 経営支援も積極的に行っていらっしゃるようですね。
【仮屋薗】 はい。役員会に担当キャピタリストが参加してハンズオンの経営支援を行うというのが、我々の投資の基本的なポリシーです。企業の成長ステージ別では、幅広く、シードの段階からアーリーステージ、レイトステージ、またケースによってはバイアウトまで関わります。まさにマルチステージですね。
【森本】 3号ファンドの資金調達はどうされるのですか?
【仮屋薗】 3号ファンドは資金調達からすべてグロービス独自で運営します。日本の機関投資家の多くは、ベンチャーキャピタルやバイアウトファンドに取り組んでおられるケースがまだまだ少ないのが現状です。我々としては、もっと日本の投資家の方々を増やしていきたいと思っており、機関投資家の方々に機会あるごとにお話しさせていただいています。この業界では継続していただける方が優先ですから、まずは2号ファンドまでの投資家の方々にコンタクトしますが、2号ファンド組成段階ではまだ十分とはいえなかった我々のファンドへの信用も6年間の投資実績を通してある程度構築できたと思いますので、投資運用に関して見識が深い新規の投資家の方々にもぜひご参加いただきたいと思っています。
後編 「経営支援能力の強化」(5月17日更新)へ続く。 |