起業家・ベンチャーキャピタル・投資家を繋ぐコミュニティ・マガジン

VC vision
前編 後編
第3回 起業支援から経営支援まで 後編 ビジョンからアドバイスまで
200億円という大規模ファンドを運営し、
投資先企業へのきめ細かい経営支援を実施する
グロービス・キャピタル・パートナーズ。
ベンチャー企業に対するハンズオン活動も、
ビジョン・戦略構築から採用支援にいたるまで、
トータルな経営支援を展開できることが強みとなっている。
interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
投資先一覧パートナー
すべての業務を一気通貫で実行できる人間

【森本】グロービス・キャピタル・パートナーズのメンバーはどのような方々で構成されているのですか。
【仮屋薗】年齢は30歳から40歳が多く、平均30代前半になります。積極的に採用したいのは20代後半で、経験値はもとよりその業界に対する見識がしっかりしている人。あとはやはり人間性ですね。メンバーは、その経歴から大きくわけて2つのタイプがいます。一つは、事業会社の経営や事業立ち上げの経験があって経営全体を見ることができる人間。もう一つは経営コンサルティングなどを外部から実施してきた人間ですね。どちらも、経営支援を行うための能力を備えている人間といえます。これは事業開発支援や組織開発支援を行いながら、案件の成功確率を高めていくというグロービスの投資戦略の柱を支えるために必要な要素です。日本には、案件開拓をする営業人員が豊富でカバレッジが非常に広いベンチャーキャピタルが多く、案件数では残念ながらそれらのベンチャーキャピタル会社に及びませんが、我々は掘り下げ型とでもいいますか、投資案件を絞って、その分大型投資を実行し、経営支援を行うことで案件の成功確率を高めていく投資方針を採用しています。
【森本】ベンチャーキャピタリストのご経験者はいらっしゃいますか。
【仮屋薗】我々のファンドは、ベンチャー企業での事業開発とボードマネジメントを重視していますので、その意味において、ベンチャーキャピタルでの経験自体は必須ではありません。ベンチャーキャピタリストの仕事は、投資案件の審査・交渉から、投資実行後の経営支援・IPO支援、エグジットまで多岐にわたりますが、弊社のベンチャーキャピタリストには、それらすべての業務を一気通貫で実行できる人間でないと務まりません。特に投資先企業の経営サポートを行う際は、組織力というより個人の能力が必要となってきますので、各キャピタリストはそれぞれが高い能力をもつプロフェッショナル達です。


事業開発支援・組織開発支援・財務開発支援

【森本】実際、企業の育成はうまくいっていらっしゃいますか。
【仮屋薗】投資先企業のほぼ100%、経営支援に関わっています。現在私は投資先6社の社外役員を務めています。非常勤ですが、各種経営会議に参加したり、日々メールでのやりとりで経営陣とコミュニケーションをとっています。当然取締役会には必ず参加しています。各キャピタリストとも専門分野を持っていますが、それとは別に各種経営支援を幅広く行います。経営支援は、大きく分けて3つありまして、一つは事業開発支援です。事業計画・事業戦略構築のためのアドバイス、アライアンスの紹介などを行います。二つ目は組織開発支援です。人事・評価制度などの経営管理制度の導入、組織設計のアドバイスなども行います。特に、グロービスのグループ力を活かして採用支援を行うのが特徴的で、グロービスの学校で学んだ経営人材などをミドルクラスのマネジャーとして紹介しているケースなどが多いです。三つ目は財務開発の支援です。当然のことながら、IPO政策のサポートなどを行います。
【森本】しかし、企業側にポテンシャルが育たなければ意味がないですね。
【仮屋薗】おっしゃる通りです。そのために、採用支援、ならびに人材が定着するための組織開発支援を行っているわけです。初期段階でリソースが足りないときにはキャピタリスト本人がリードをする場合もありますが、それでは長期的に成長可能な企業の真の能力にはなりません。よって、サポートしながらも早く手離れするように心がけることも大事だと思っています。求められるキャピタリストは、経営者や経営チーム、社員のことをしっかりと理解して、企業が機能するようにファシリテートやコーチングができる人ですね。我々はあくまで参謀ですから、あまり強く出すぎることがあると、逆にぶつかることもあるでしょうし、そこは裏方に徹して触媒として立ち回っていってほしいですね。




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