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VC vision
前編 後編
第6回 ベンチャーの奥深き森 前編 バイアウト投資のノウハウを活かす
2000年日興コーディアルグループとイギリスのアントファクトリー社との
合弁会社として誕生した日興アントファクトリー。
2003年の日興キャピタルとの統合により
ベンチャーキャピタル事業をスタートさせる。
常務執行役員の谷本徹が語る、
プライベートエクイティによるバイアウト投資のノウハウを活かした
ベンチャーキャピタルとは。

interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
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リード型ベンチャーキャピタル投資

【森本】 ファンド出資者はどういった方々ですか。
【谷本】 日興コーディアルと日興コーディアルのお客様が中心ですが、最低単位が1億円の出資なので個人の方もいらっしゃいます。
【森本】 2003年の統合から、「リード」1号ファンドのスタートまで1年以上あるわけですが、ファンド組成についてはどのような議論が進められていたのですか。
【谷本】 考え方の一つとしてあがったのは、その時代のなかで、資金が集まるような設計であることでした。そして、なによりも日興アントファクトリーとしての特徴を出したファンドにすることですね。そして、結果的には3つのタイプで投資しています。タイプ1は、プレIPO(株式公開)のもの。タイプ2は、小型のバイアウト的投資。タイプ3は、クラシカルなベンチャーキャピタルでテクノロジー、バイオ関連に投資するものです。リードインベスターとしてやっていきたいと考えていますから、タイプ2、タイプ3のファンドが弊社の特長を表していると思います。バイアウト投資の延長のところでベンチャーキャピタルをやっていこうという狙いがあります。
【森本】 これは他では見られないスタイルですね。
【谷本】 弊社のバイアウト投資というのは、ピュアエクイティ型で、レバレッジリスクをとらない、常駐「ハンズオン」支援するなどのこだわりが多少独特だと思います。3、4人のチームを組んで従業員自ら常駐で支援しますから、関与の仕方が濃厚なものになります。
【森本】 バイアウトに比べると、ベンチャーキャピタルは、どんなに頑張ってもハンズオンとはいえませんからね。
【谷本】 弊社ベンチャーキャピタル部門の投資手法は、ハンズオンではありませんが、従来型のベンチャーキャピタル型でもない。ベンチャーキャピタル投資でありながら、リードを取り、ハンズオンの仕組みも取り入れていく、「リード型」投資を重点的に行っていきます。リードインベスターとしての位置づけを明確にして、常駐はできなくても、支援には力を入れたベンチャーキャピタルを目指しているのです。
【森本】 統合時の改革が、発展して広がりをもってきたわけですね。
【谷本】 もう一つ、日興アントファクトリーが独自に展開してきたのがセカンダリー投資です。事業会社や他のベンチャーキャピタルが所有する、潜在価値が高いと思われる未公開株式を買い取り、短期で確実に2倍、3倍の収益を上げることを目指しています。これはIPO前の企業に関しても行っています。公開して5倍、10倍、場合によっては30倍の利益を目指すのがベンチャーキャピタルの醍醐味ですが、セカンダリーは短期で手堅く収益を上げるのを目標としています。

今年のテーマは海外に拠点をつくること

【森本】 そういう意味ではセカンダリーは100%利益をあげることができる投資分野になりますからね。ところで、現在ファンドの数は、いくつありますか。
【谷本】 アクティブなものでいうと22です。主なものは、さきほど申し上げました「リード」に加えて、ザインエレクトロニクス株式会社と株式会社チップワンストップとで設立した「イノーヴァ」、東京都の出資で設立した「東京ディスカバリー」、「SRI(社会的責任投資)ファンド」といった投資領域特化型ファンドがあります。「イノーヴァ」はエレクトロニクス業界に特化したものです。あと、介護施設、医療・ヘルスケアに展開していくケアファンドに、オートビジネス再編1号、2号というファンドもあります。これは文字通り自動車流通を中心としたファンドです。「SRIファンド」は、保険会社から社会貢献に投資するという主旨で資金をお預かりしています。「東京ディスカバリー」にはテーマが4つありまして、福祉、SRI、環境、伝統産業が対象になっています。出資者の投資方針に応じて設立するオーダーメイド型のOEMファンドでは、出資者の依頼を受けた案件にのみ投資を行っています。
【森本】 なるほど、並行ファンドにはなっていないですね。
【谷本】 OEMファンドでは、出資者から依頼があったものを、我々が評価して投資しています。
【森本】 ところで「リード」の2号はいつ立ち上げられるのですか。
【谷本】 現在、企画中ですが、年内、遅くとも来年の春には開始する予定です。
【森本】 1号ファンドは完全に終わられたのですか。
【谷本】 最終の組み入れ段階ですが、投資方針には慎重さを貫いています。2号の募集よりも先に、こちらをきちんとしなければなりません。
【森本】 2号ファンドはどれくらいの規模で想定されているのですか。
【谷本】 これも、1号と同規模の150億円以上を目指しています。いま海外での独立したファンドで考えているのですが、お客様の要望があれば、海外を入れた統合型になるかもしれません。
【森本】 それはアジアになりますか。
【谷本】 おもにアメリカと中国ですね。海外拠点をつくることは、弊社の今年のテーマでして、アメリカ、韓国、中国へと展開していく可能性もあります。
【森本】 海外のベンチャーに対して日本のベンチャーキャピタルが投資をする意味をどう考えるかという問題がありますね。
【谷本】 普通、ベンチャーキャピタル投資ですと10件、20件に投資するというイメージですが、バイアウト的なベンチャーキャピタル投資で、1件、2件をやるのがいいのではないかと。それは、すごい差別化になるだろうと考えています。あと、日本市場をターゲットにしている企業でないと、投資する必然性がないわけで、中国、韓国にしても「日本市場に出たい」という話をしている企業が対象になると思います。

後編 「多様な投資、多彩な支援」(8月16日発行)へ続く。





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