【森本】 ファンド出資者はどういった方々ですか。
【谷本】 日興コーディアルと日興コーディアルのお客様が中心ですが、最低単位が1億円の出資なので個人の方もいらっしゃいます。
【森本】 2003年の統合から、「リード」1号ファンドのスタートまで1年以上あるわけですが、ファンド組成についてはどのような議論が進められていたのですか。
【谷本】 考え方の一つとしてあがったのは、その時代のなかで、資金が集まるような設計であることでした。そして、なによりも日興アントファクトリーとしての特徴を出したファンドにすることですね。そして、結果的には3つのタイプで投資しています。タイプ1は、プレIPO(株式公開)のもの。タイプ2は、小型のバイアウト的投資。タイプ3は、クラシカルなベンチャーキャピタルでテクノロジー、バイオ関連に投資するものです。リードインベスターとしてやっていきたいと考えていますから、タイプ2、タイプ3のファンドが弊社の特長を表していると思います。バイアウト投資の延長のところでベンチャーキャピタルをやっていこうという狙いがあります。
【森本】 これは他では見られないスタイルですね。
【谷本】 弊社のバイアウト投資というのは、ピュアエクイティ型で、レバレッジリスクをとらない、常駐「ハンズオン」支援するなどのこだわりが多少独特だと思います。3、4人のチームを組んで従業員自ら常駐で支援しますから、関与の仕方が濃厚なものになります。
【森本】 バイアウトに比べると、ベンチャーキャピタルは、どんなに頑張ってもハンズオンとはいえませんからね。
【谷本】 弊社ベンチャーキャピタル部門の投資手法は、ハンズオンではありませんが、従来型のベンチャーキャピタル型でもない。ベンチャーキャピタル投資でありながら、リードを取り、ハンズオンの仕組みも取り入れていく、「リード型」投資を重点的に行っていきます。リードインベスターとしての位置づけを明確にして、常駐はできなくても、支援には力を入れたベンチャーキャピタルを目指しているのです。
【森本】 統合時の改革が、発展して広がりをもってきたわけですね。
【谷本】 もう一つ、日興アントファクトリーが独自に展開してきたのがセカンダリー投資です。事業会社や他のベンチャーキャピタルが所有する、潜在価値が高いと思われる未公開株式を買い取り、短期で確実に2倍、3倍の収益を上げることを目指しています。これはIPO前の企業に関しても行っています。公開して5倍、10倍、場合によっては30倍の利益を目指すのがベンチャーキャピタルの醍醐味ですが、セカンダリーは短期で手堅く収益を上げるのを目標としています。 |