【森本】 ベンチャーキャピタル事業はどのようなメンバーで活動されているのかお聞かせください。
【谷本】 人員としましては現在、11名います。ベンチャーキャピタルのみの経験者は私だけです。メーカー出身が6名、証券会社出身が2名、コンサルタント会社出身が1名です。あと、アナリストが1名です。
【森本】 メーカー出身の方が、すぐベンチャーキャピタルを担当されるのですか。
【谷本】 そうです。メーカーとはいっても、研究所や技術部門にいた人たちですから、技術評価ができる人たちなのです。
【森本】 なるほど。
【谷本】 先日は、大手自動車メーカーでエンジンを開発していた人を採用しました。その経験は生かされると思います。
【森本】 会計士やコンサルタントご出身の方が少ないですね。
【谷本】 それはプライベートエクイティ部門のほうに配属されています。弊社ベンチャーキャピタル部門の現在の採用では、ベンチャーキャピタリストとメーカー出身者を中心に行っています。
【森本】 ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティとでは適性の違いがあるのですか。
【谷本】 ベンチャーキャピタルは目利き力が大事で、プライベートエクイティの場合は逆に実践力が重要になります。会計士だと経営支援的に経営改善ができるなどの投資後のハンズオンで役立てることが多いですからね。
【森本】 日本の場合、ベンチャーキャピタルは、新卒を採用して、若い人間を育てていくケースが多くなってきていますが、海外、とくに米国では、若い人がほとんどいなくて、シニアが多いですね。ベンチャーキャピタルの未経験者を育てるということには、どういうお考えをおもちになっていますか。
【谷本】 弊社のスタッフも決して若いほうではないですね。40代が5名いまして、あとは、30代半ばが4人と、20代後半が2人。30代前半の人がほしいですね。正直言って新卒を採用するのはちょっとしんどいですね。育てている余裕がありませんから、育った人に来てもらいたいと思います。
【森本】 育てる手だてや育つ環境はどのようになさっていますか。
【谷本】 まずは基本事項をしっかり学んでいただきたいと思っています。「前はこういうやり方だったのですが、今回はこれでいいのですか」といったギャップを感じてくれるぐらいがいいですね。この落差が仕事を理解するのに有効になってきますし、その経験を蓄積していってもらうことが大切ですね。あとみなさんドキュメンテーション作りに苦労していらっしゃいますが、弊社ではそれほど重要視していません。その分を他のところに力を入れてください、という考え方なのです。案件に関しては、その場その場で十分な議論ができればいいと思っていますから。だから、プレゼン内容が稚拙だと話にならないですね。また、ドキュメンテーションなど見なくても、担当者がどこまで調べているかは、2つ、3つ質問をしてみれば、すぐにわかります。そういう訓練は十分にできる人たちが集まっています。社会人としての厳しさをもった人たちだと思います。 |