【森本】 ウエルインベストメントのスタッフ構成はどうなっていますか。スタッフの方々の経歴も含めてお聞きしたいのですが。
【東出】 特徴的なことは、私もそうですが、早稲田大学の教授がマネジメントに関わっていることですね。基本的には事業経験者、とくにオペレーション経験者、証券会社などのファイナンス出身者、そして、いまお話しした大学教授といったメンバーで構成されています。ただ、大学の教授に関してですが、ピュアな意味でアカデミックな人は一人もいません。私自身も大学を卒業したあと鹿島建設に入社して、建設・不動産事業を手がけてきて、イギリス、フランス、ドイツなどで不動産投資をしてきた経験があります。取締役会長を勤めている松田修一にしても公認会計士の出身で、その時期にベンチャー支援を長いこと手がけてきた経験を持っています。
【森本】 キャピタリストは何人いらっしゃるのですか。
【東出】 現在動いているキャピタリストは、6人です。
【森本】 その6人で、それぞれの投資先を担当して、サポートしていく活動をしているわけですか。
【東出】 担当については、うっすらと決まっているという感じですね。他の人間の力やアイデアが生きる時はそれを全部使っていきますので、一つの投資先に対して誰かがすべての責任を持つという形で、明確にきちっと決まっているわけではありません。社長はキャピタルに専念していますけれども、私自身でいえば、投資先を担当する一方、大学での教育もありますし、むしろ、スタンスは大学のほうに比重が大きいですね。
【森本】 そういう体制のもと、ウエルインベストメントはどんなスタイルのベンチャーキャピタルを目指しているのですか。
【東出】 そうですね。私たちのベンチャーキャピタル事業は、「早稲田大学」「テクノロジー」「イノベーション」の3つをキーワードにしています。これをベースにしたベンチャー支援で、社会にバリューを還元しながら、リターンをあげていくということが、目標といえると思います。
【森本】 その3つのキーワードが、ウエルインベストメントの特徴になるわけですね。
【東出】 ええ、「イノベーション」と「テクノロジー」は、ウエルインベストメントの事業の姿勢を示すキーワードになると思います。イノベーションをテクノロジーとほぼ同義に捉える向きもありますが、私たちは、イノベーションの本質はクリエイティビリティだと考えています。たとえば、バイオテクノロジーで新しいガンの特効薬をつくるといった場合、その新薬を開発する技術だけがイノベーションではありません。その新薬の製造から販売、サービスという一連のビジネス・プロセスを通して、さまざまな知恵・アイデア・シーズを出し、取り入れていかなければビジネスにはなりません。そうしたビジネスの形を仕上げていくまでのプロセスの中には多くのクリエイティビリティが必要になります。できあがった商品と、そのバリューを顧客の手に届けるための流通プロセスにおける、クリエイティビリティなどもとりわけ重要です。つまり、種を生み出すこと、それをビジネスの形に発展させること、そして、そのビジネスの形をバリューとして実際に顧客の手に届けることの3つのプロセスには、何らかのクリエイティビリティが必要になってくるということです。 |