【森本】 事業育成会社としては、育成し終わった会社は、原則として持ち株の比率を下げていきますよね。そこはどう考えていますか。
【塩谷】 その点は、投資先の保有方針を3つのカテゴリーに分類して考えています。先ほどお話ししましたように、3つのコア事業があります。まず、このコア事業をカテゴリー1に分類しています。このコア事業は過半数以上を保有し続け、事業を大きくしていくと同時に、そこを中心に新しい事業を立ち上げていきます。カテゴリー2は、新規に立ち上げた事業から今後コア事業に発展させていきたいと考える事業です。これらは、IPO後も支配権をもつことのできる持ち株比率で保有していきます。そして、カテゴリー3は、それ以外の案件で、単独で完結している事業です。この分類の企業は、タイミングを見て上場させたり、M&Aで売却したりしていきます。投資先企業をこのような3つのカテゴリーに分けて持ち株の保有方針を決めているわけです。あと、多くのベンチャーキャピタルは投資先の出資比率が低いのでIPOを待つしかないのですが、当社の場合は、出資比率の高い先が多いですから、M&Aもやりやすい。そこも、ベンチャーキャピタルの場合と、違っているところだと思います。
【森本】 M&Aについては、どのような方針で取り組んでいるのですか。
【塩谷】 2000年にITXを設立した当時は、日本国内でM&Aはそんなに盛んではなかったのですが、ここ3年くらいで急速に、企業の売買を行うこと自体当たり前という環境に変わってきています。また、その企業で働く従業員もM&Aに抵抗がなくなってきています。
【森本】 確かに、とてもやりやすい環境にはなってきています。
【塩谷】 M&Aの対象は臨機応変です。カテゴリー3に限らず、カテゴリー2に分類される企業でも、最終的にカテゴリー1にたどりつかなかった場合は、IPOやM&Aで売却ということもありえます。
【森本】 ITXは、単なる投資会社というよりは、付加価値を生むカテゴリー1になる実利のある企業への投資を主軸にする会社と言えますね。
【塩谷】 はい。ですから、現在のカテゴリー1の事業は3つですが、将来的にはこれを増やしていこうとしています。このコア事業については、明確な定義づけがありまして、顧客・技術・パートナー等の面で事業のコアコンピタンスを既に確立しており、その事業の周辺分野へ新たなビジネスの広がりが期待できる事業をカテゴリー1と考えています。 |