【森本】 米国で、起業家の人たちにも大勢に会われたと思いますが、どのような方々が印象に残っていますか。
【広瀬】 それぞれが志を持っていて、みんな、生き生きとしているな、というのが一番印象に残っていることですね。日本から来て米国で成功しているアントレプレナーの方にも会いましたが、立派な人たちが多いですね。シリコンバレーは、米国人だけではなくて、いろいろな国の人がいて、多様なビジネスを展開していますね。
【森本】 そこが日本との大きな違いですか。
【広瀬】 ネットワークも多様にあるのですね。インド人ならインド人のネットワークがあるし、台湾人、中国人もそれぞれのネットワークを持っていて、それらは排他的というよりは、そうしたネットワークを使い、またほかのネットワークを使ってという形で、多種多様なネットワークを活用しながら生きているわけですよ。そういう社会構造になっているのがシリコンバレーですね。いまでは、日本にもそういうネットワークがだんだん増えてきて、私もいくつか参加させてもらっています。
【森本】 日本ではどんな集まりに参加されているのですか。
【広瀬】 三菱地所が主催して丸ビルで行っているものや、ベンチャーキャピタルの集まりもあります。ただ、米国では、ビールとつまみぐらいでみんなにぎやかにやっているわけですが、日本だと豪華なホテルで料理も立派なものが出てやることが多いのですね。私はもう少し気軽に参加できるほうがいいと思います。それと、コーポレートベンチャーの集まりというものもあって、そこでは、日本から米国に出向してコーポレートベンチャーを経験した方々も来ていて、米国時代の人脈が日本でもつながって、各方面に広がっていくというものもあります。あと、インキュベーションの関係の方に会いに行ったり、最近ではベンチャー企業から会いに来てくれる方も増えてきましたので、そういう形で、いくつかのネットワークができてきています。それから、有名な大手企業からコーポレートベンチャーをつくりたいのだが、どうしたらいいのかという相談も来ます。
【森本】 日本に戻ってこられて、コーポレートベンチャリングとして、最初に手がけたことは何だったのですか。
【広瀬】 米国では、主には米国のベンチャー企業が投資先でしたから、日本でもベンチャー企業のインキュベーションをしたい、というのがまず一番のテーマです。中小企業庁とタイアップして「ネクストファンド」という中小企業、ベンチャー企業向けのファンドの設立もそういう動きの一つです。それから、日立には社内ベンチャー制度というものがあるのですが、そういう起業活動に、米国で得た考え方を取り入れていきたい、ということがあります。どのようにビジネスプランをつくっていけばいいのか、その時にどのような点に気をつければいいのかということを、いまも社内に広めているところです。 |