【森本】 グループとしては投資事業による収益拡大には、それほど大きなウエイトを置いていないということですか。
【村松】 そうですね。当社はほぼ全員がバーチャルな集団になっていまして、正社員は2人だけしかいませんが、GMOインターネットグループのいろいろなメンバーが運営に仮想的に携わる形態になっています。たとえば、目利き役であればそういうことに長けている者が2,000人のグループスタッフの中にいますので、現場サイドでグループ内の提携という形で活動しています。ファンドの運用そのものもアウトソーシングでNVCC社(日本ベンチャーキャピタル)に依頼していますから、アライアンスやディールの部分を除けばほとんどが定型のプロセスで流れていて、ファンド運用の固定費をできるだけ低く抑える体制になっています。このように固定費が低いのでファンドの残高や管理報酬を気にしなくてもよい体制ですから、この2つのファンドで終わっても困りません。逆にいえば、新しいテーマが発見されさえすればすぐにでもそこにフォーカスしたファンドを組成することが可能だということです。2つのファンドのパフォーマンスが出た時点である程度の出資者を募ることができれば、3つめのファンドも創りやすくなるだろうと見ています。
【森本】 次に見えてきつつあるテーマとはどういうものですか。
【村松】 Web2.0をめぐるビジネスモデルは分散化しながら現在進行形で進んでいます。まだ数年はこうした状況が続くと思います。ですから、しばらくはこのテーマで実施していきたいと思っています。ただミクロな視点で見ていくと、おもしろい動きをキャッチすることができます。そうしたものをテーマ化してプロジェクト的に動くようにしています。その一つが、先日発表した「SecondLife Fundプロジェクト」です。まだファンドを組成しているわけではありませんが、ファンド展開も視野に入れてプロジェクト化しています。
【森本】 SecondLifeは、Webの世界で非常に注目されている
オンラインゲームですね。
【村松】 はい。しかしSecondLifeそのものがおもしろいのではなく、インターネット世界全体が「仮想世界」化していくことがおもしろいのです。今後、いろいろな仮想世界ベースのビジネスが成立していくことが予想されます。プレイステーション3でもSecondLife的なものが取り入れられています。私たちとしても今後、明確にカバーしていかなければならないテーマだと捉えています。そのプロジェクトの第一弾として、3月にSecondLifeビジネス・デザインコンテストを開催しました。そこでは非常にたくさんのユニークなビジネスプランが持ち込まれまして、これからの可能性の大きさを確認したところです。こちらもメディアに注目いただき、毎週取材があります。 |