【森本】 その手法でエス・アイ・ピーとしての収益は出るのですか。
【藤原】 それ自体の収益性は高いとはいえませんが、1本めのファンドで実績を作れれば、2号、3号とつながっていきますし、ベンチャーファンド以外のファンドにも手を広げることが可能です。
【森本】 なるほど、信託会社としても事業を広げられますね。
【白川】 受託対象を広げていけば、コンテンツ系やフランチャイズオーナー向けなど、対象業界をいくらでも拡大できますから、一つのビジネスとなりえると思います。
【森本】 このファンドの出資者は、どのような方々ですか。
【藤原】 民間の出資者としては上場会社が主です。あと、一部個人も入っておられます。
【森本】 外国人投資家はいないのですか。
【藤原】 おりません。会長の業績を昔から知る企業経営者や金融機関といったところが中心になっています。
【森本】 そのほかにも展開しているファンドはありますか。
【齋藤】 現在続行中なのが、「SIP知的創造投資事業有限責任組合」というファンドです。
【藤原】 会長は、いま、金沢工業大学の大学院で客員教授をしていますが、この大学院にはおもしろいベンチャー研究を行っている知的創造の専攻科があります。ここから、立ち上がってくるベンチャーをひとつのターゲットにしてスタートしたものです。金沢工業大学大学院は、外部で実業を持つ人を50名くらい客員教授として招いて、社会人に対する実践的な講義が行われています。このファンドの設立は2004年で、5億円で組成しています。基本的には、知的財産権、経営上のイノベーションがあって、他社にまねできないような技術やノウハウのあるベンチャー企業に投資していくファンドです。このファンドも、出資者は上場事業会社やベンチャーキャピタル、証券会社等です。また、このファンドでも中小企業基盤整備機構から出資いただいています。
【齋藤】 そして、いま立ち上げているのが、「デジタルコンバージジェンスファンド」です。ここまでの流れが、一応、11年間のエス・アイ・ピーの活動内容になります。
【藤原】 いままでで、総額で20億円のファンド運営ですから、それほど大きい規模ではありませんが、新しい可能性を持ったファンドを意欲的に育ててきていると自負しています。 |