【森本】 最後に、将来のビジョンをお聞きします。
【齋藤】 まず、いまのファンドの目標額を達成することが、この秋までに全力を上げることです。我々3人の体制では最初であるこのファンドの結果が見えてくれば、規模を大きくした第2、第3のファンドの展開も具体化してくると思います。いまは、未公開企業をフォーカスにした展開にありますが、将来的には、公開したベンチャー企業の第2ステージにファイナンスして一緒に成長していく展開や、ハンズオン型ベンチャーキャピタルへのファンド・トゥ・ファンズを通して仲間を増やしていくこともしたいと思います。こうした展開を通じて、規模に合わせたポートフォリオが組めるようになっていけると思います。そのコアを、未公開のアーリーステージでキチンと作り上げるのが、いまのファンドの役割になります。ですから、この1年は、本当に勝負になると思っています。
【森本】 公開後のファイナンス展開とは、具体的にはどんなイメージなのですか。
【齋藤】 我々は、ベンチャー企業にとってのIPOとは、ゴールではなくて、やっと「成人」になった段階と捉えています。たとえば米国では、大きく成長するベンチャーは新しい企業を加えたグループ経営の展開で、企業をより伸ばしていく手法が定着しています。公開した次のフェーズとして、そういう戦略をベンチャー企業と一緒に描いていくことをイメージしています。M&Aは、一つのターゲットになります。
【森本】 公開株式を取得することは考えていますか。
【藤原】 増資引き受けですね。それで、exitをファンドの期間の中で仕上げていくということです。ここは、将来チャレンジしていきたい分野です。
【森本】 それもハンズオンの一環という捉え方なのですね。
【齋藤】 そうです。
【藤原】 株式を公開しても、3〜5年ぐらいの間は、ベンチャーであることに変わりはないのですね。公開をしている、していないに関わらず、経営実態がベンチャーである企業には、ベンチャーキャピタルはサポートを継続しなければいけないということです。
【齋藤】 新しい企業、新しい産業の育成を考えれば、ベンチャーキャピタルが公開後に明確な視野を置くことは、一つの必然といえます。
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