【森本】 ベンチャーファンドを立ち上げようと思い立って、最初に起こした行動は何ですか。
【萩原】 会社を立ち上げる程度の資金はありましたが、ファンドとして運用する規模ではありませんでしたので、ふたたび、それまでにお世話になった方たちに、投資ファンドをつくろうと思っていますと、挨拶して回ったのです。そして、資金提供や投資をしていただけそうな人の紹介をお願いしていきました。それと同時に、ファンドの登記にはずいぶんと苦労をしました。なにせ初めてのことですから、知り合いの証券会社の方や投資ファンドの方にお聞きしたのですが、残念ながら、私のルートでは登記の仕方を知っている人がいませんでした。そこで、インターネットで調べたり、法務局にいって聞いたりしました。実際に登記する際にも、千葉県・船橋の法務局では、投資ファンドについては分からないので受理できないと断られたのです。そこで、東京の法務局へ届けたところすぐに受理してもらえました。ちょうど、ライブドア事件の起きる直前で、規制が強まる前だったので、タイミング的にもよかったのです。
【森本】 ベンチャーキャピタルを始めるにあたって、どのように準備をされたのですか。
【萩原】 個人的に親しくさせていただいていた投資ファンドやベンチャーキャピタルの方々には、ファンドの運用で注意すべきことなどずいぶんとお話をうかがいました。
【森本】 ファンドの設立の際には、投資家の方々にはどのような形でファンド説明をされたのですか。
【萩原】 投資業務の経験があるわけではなかったので、納得してもらうには苦労をしましたが、ファンドや私自身に魅力を感じてもらうことが重要でした。やはり、事業会社時代に私の経験してきた話を通して、ベンチャー企業に投資する意味と可能性をお話していったという形ですね。強調したことは、ファイナンスのテクニックを使って安全にうまく運用するというよりは、お預かりするお金や私の知識、経験を、投資するベンチャー企業の成長に役立つように使っていきたいということです。もちろん基本的には、お預かりした資金は増やしてお戻しするのですが、ベンチャー企業の成長支援に使う点に理解いただくことを重視しました。ファンドが始められたこと自体、運がよかったと思っていますが、経歴としていままで3社の事業会社でキャリアを積んできて、そこである程度の成果を上げてきましたから、その点の評価が大きかったのではと思っています。
【森本】 出資者は個人の方たちなのですか。
【萩原】 すべて個人の方です。法人はありません。
【森本】 現在、ファンドはいくつあるのですか。
【萩原】 一つです。名称は、社名と同じでグロースパートナーズ投資事業有限責任組合です。総額20億円で、GPファンドと呼んでいます。
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