【森本】 案件の発掘から審査、投資に至るまでのプロセスはどのようになさっていますか。
【河野】 案件は、すべて人からご紹介いただいたものになります。こちらから探して案件に働きかけることはこれまでありません。MBOやIPO、あるいは、第三者増資を考えている会社があるという話を聞いてから、その社長に会いにいくというパターンです。
【森本】 なるほど。
【河野】 どちらかというと追いつかないくらいにご紹介をいただいている、というのが現状です。
【森本】 そういう流れはどのようにしてできたのですか。
【萩原】 起業するときに、100人単位の方にご挨拶に伺ったのですが、その後も、その人たちを基点に次々とご紹介いただく形で、情報提供していただける方々のつながりが、広がりつつあります。ここ数年は、年間1,200〜1,500人の人たちと新たに会っています。そうして得た案件情報について、その会社自身や取引先などをヒヤリングして投資すべきかどうかを判断していきます。財務の数字もそうですが、社長の人柄をとくに注視するようにしています。
【森本】 案件の選定について御社ならではの特徴はありますか。
【河野】 ベンチャーキャピタルでは債務超過だと投資が不可になる基準がありますが、当社では、そこは問題にはしていません。債務超過でも、事業内容や成長性、また、社長の人柄、熱意といったもので判断をするようにしています。杓子定規な判断はしない、ということを我々自身が気をつけていることです。他のベンチャーキャピタルとの横並びになるのは、避けたいという気持ちが強くあります。それから、投資先が、当社の持っているナレッジやネットワークで事業価値、企業価値を高められる事業分野であることは、大きな価値基準になります。そこのポイントは、現状はダメだけれど、当社が支援に関わることで伸ばすことができる企業には、積極的に投資していきたいということです。放っておいても成長するところに投資するというスタンスのベンチャーキャピタルが多い中で、当社はその逆でいこうということです。
【森本】 いま何社に投資していますか。
【河野】 6社です。
【森本】 金額的には、いま何割の投資をしていますか。
【河野】 2割くらいです。1社当たり5,000万円くらいの投資規模です。
【森本】 投資先の6社の中には得意とする飲食業がありませんね。
【萩原】 はい。案件としては結構くるのですが、投資決定できる企業はまだないという状況です。また、投資先企業には、とくに共通点はありません。これは、特定の業種に特化する考えはないということでもあります。
|