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VC vision
前編 後編
第22回 ベンチャーキャピタルというベンチャービジネス 後編 企業価値への投資
グロースパートナーズ株式会社のGPファンドで大事なことは、
企業成長に具体的に役立つために、
自分たちのもつシナジーが投資先とマッチしているかどうかだという。
同社の案件の発掘法、審査、投資決定までのプロセスで、
徹底して検討されることは、企業成長実現の可能性を探ることである。
後編は、新しい時代のベンチャーキャピタルの可能性を秘めた
グロースパートナーズ株式会社の、そのユニークな投資眼を追っていく。
interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
パートナーズ投資先事例
一人でも疑問を呈する場合は投資をしない

【森本】 御社のメンバーは、どのような構成になっていますか。
【萩原】 全員がパートナーとして同じ展開をしています。特徴は、全員で相談して投資先を決定していることです。一人でも疑問を呈する場合は投資をしないという判断をすることが、一つの決め事になっています。社員の内訳は、私と、公認会計士の資格を持っていて監査法人と証券会社の経歴のある河野浩人。また、中小企業の役員をしている人など外部のメンバーもいます。コアのメンバーが知らない業種の場合は、外部のアドバイザーの意見を聞くようにしています。こうしたメンバーがいますので、経営企画にしても、IPOの準備にしても、どんな業界でも対応できるのが当社の強みになると思います。
【森本】 河野さんがベンチャーキャピタルの業種に入ったきっかけはどのような経緯があったのですか。
【河野】 萩原とは昨年の1月に共通の知人を介して会ったのが最初です。萩原がファンドを作ろうと動いているときです。私も独立したばかりで、やろうとしていたことが似ているので、それなら一緒にやりましょうということになり、グロースパートナーズに参加することになりました。もともと私は、監査法人で一部上場企業を主な取引先として会計監査をしていたわけですが、もっと踏み込んで企業の成長支援をしてみたいという思いが強くありました。そこで、独立してこれから成長していく過程にある中小企業を中心にした経営支援を志しました。ただ、監査法人時代には、財務や経理業務が専門で、企業の資金調達にはまったく関与していませんでしたから、証券会社で少し勉強をしようと思い、1年半ほど日興コーディアル証券の法人ビジネス部に在籍して実務を覚えました。それから、独立をしたのですが、実際は企業顧問とか税務代理の仕事が中心になってしまい、思った方向になかなかうまく進めていないな、と考えていたときに萩原と出会って、一つの転機となって、いまに至っているということです。
【森本】 社内にいるメンバーが得意とする投資先はどの分野になりますか。
【萩原】 飲食とITになります。
【森本】 外部メンバーはどのような方々ですか。
【萩原】 ベンチャーキャピタリストや、事業会社の経営者です。案件関係の業種や業界動向などを相談することは結構あります。

特定の業種に特化する考えはない


【森本】 案件の発掘から審査、投資に至るまでのプロセスはどのようになさっていますか。
【河野】 案件は、すべて人からご紹介いただいたものになります。こちらから探して案件に働きかけることはこれまでありません。MBOやIPO、あるいは、第三者増資を考えている会社があるという話を聞いてから、その社長に会いにいくというパターンです。
【森本】 なるほど。
【河野】 どちらかというと追いつかないくらいにご紹介をいただいている、というのが現状です。
【森本】 そういう流れはどのようにしてできたのですか。
【萩原】 起業するときに、100人単位の方にご挨拶に伺ったのですが、その後も、その人たちを基点に次々とご紹介いただく形で、情報提供していただける方々のつながりが、広がりつつあります。ここ数年は、年間1,200〜1,500人の人たちと新たに会っています。そうして得た案件情報について、その会社自身や取引先などをヒヤリングして投資すべきかどうかを判断していきます。財務の数字もそうですが、社長の人柄をとくに注視するようにしています。
【森本】 案件の選定について御社ならではの特徴はありますか。
【河野】 ベンチャーキャピタルでは債務超過だと投資が不可になる基準がありますが、当社では、そこは問題にはしていません。債務超過でも、事業内容や成長性、また、社長の人柄、熱意といったもので判断をするようにしています。杓子定規な判断はしない、ということを我々自身が気をつけていることです。他のベンチャーキャピタルとの横並びになるのは、避けたいという気持ちが強くあります。それから、投資先が、当社の持っているナレッジやネットワークで事業価値、企業価値を高められる事業分野であることは、大きな価値基準になります。そこのポイントは、現状はダメだけれど、当社が支援に関わることで伸ばすことができる企業には、積極的に投資していきたいということです。放っておいても成長するところに投資するというスタンスのベンチャーキャピタルが多い中で、当社はその逆でいこうということです。
【森本】 いま何社に投資していますか。
【河野】 6社です。
【森本】 金額的には、いま何割の投資をしていますか。
【河野】 2割くらいです。1社当たり5,000万円くらいの投資規模です。
【森本】 投資先の6社の中には得意とする飲食業がありませんね。
【萩原】 はい。案件としては結構くるのですが、投資決定できる企業はまだないという状況です。また、投資先企業には、とくに共通点はありません。これは、特定の業種に特化する考えはないということでもあります。



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