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Vol.001 株隙会社エムアウト 代表取締役社長 田口 宏第3話 事業を成功に導くもの
コラム3“Change” パーソナル・データ(3)
購買代理店という仕組みの絵画事業
 起業専業企業としてやっていくようになったのは今から約1年半ほど前のことです。それ以前に、エムアウトではじめた最初の仕事が絵画事業「@ギャラリー タグボート」でした。まあ絵が好きだったということがありましたからね。何にもわからないところからはじめて、絵画の世界の事情がわかるようになるまでは時間がかかりました。
  今のギャラリーというのはすべからく、アーティストの描いた作品を売る販売代理店なんですね。供給側の論理でやっている商売なわけですよ。つまり、ほんとうに素人で絵を楽しみたい人のための購買代理店という仕組みはなかったわけですね。だったらそれをやってみようということではじめたんです。
  僕はミスミ時代からアートのコレクションを16年近くやってきて、現在約300点ほど所蔵していますが、それほどよく買っていても、高く買わされたのがいっぱいあった。そうとう痛い目にもあってるわけです。

ウォーホール作品の標準価格を設定する
 コレクションの中心になっているのが米国のコンテンポラリーアートですが、これは値段があってないような代物ですから。じゃあ、安心して買えるギャラリーを作ればいいんだということではじめたのです。
  最初は、標準価格の設定というところからはじめました。たとえば、アンディー・ウォーホールのミック・ジャガーの絵の、過去のオークションのハンマープライス(落札価格)を調べて、それを全部データベース化したのです。そして、それをグラフで表して見せて、現在の適正価格はだいたいこの価格でしょうということを公開しているのです。
  既存の画商ができないビジネスですなんですよ。画商からすると、結局1億円、2億円するユトリロを売るのも、100万円のリトグラフを売るのも、労力はそんなに変わらないんです。だったら、1億円、2億円を扱ったほうがずっと得なわけですよ。今はそういう方向へみんな行っている。

5,000円から2万円、3万円の美術品を開発する
 われわれのマーケットアウト・ビジネスでアートを扱うとなると、逆に細かい物がたくさんあったほうが付加価値を付けやすくなっていくことになるでしょうね。そこで100万円もするような高い物は扱わないようにしていこうと思うのです。実際に今一番売れてるのは10万円、20万円、30万円当たりなんです。もっと安い価格帯で、だいたい5,000円から2万円、3万円の間の商品を開発してくださいって言ってるんです。
  従来のギャラリーはそんなことをやっても商売にはならない。1億円、2億円の作品扱って粗利で20%、30%を取っているわけですから合わないわけだよね。オークション会社だって、最低でも15%は取ってるんじゃないですか。それも売る側と買う側の両方からとっていますからね。それに品質の保証は全然していませんからね。そのためにプレビュー(内見会)を開いているんです。



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