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Vol.001 株隙会社エムアウト 代表取締役社長 田口 宏第3話 事業を成功に導くもの
コラム3“Change” パーソナル・データ(3)
絵画の値段を吊り下げるオークション
 オークションというものは供給側の論理でできているんですよ。値段を吊り上げる仕組みです。最終的には落札者に決めさせるようになっているけれども、ベースは会社がどんどん吊り上げていく。
  オークションがはじまる前から吊り上げがはじまってますからね。「向こうの人がこれくらいの値段で買うでしょうから、この程度じゃたぶん落ちませんよ」というようなこと言って、「じゃあこれくらいまで上げてみましょう」と言っておいて、今度は向こうへ行って同じようにして吊り上げていく。最後はオークションのところでさらに吊り上げる。
  こういう仕組みは、ほんとに絵を楽しみたい人にとっては困るわけです。だから吊り上げじゃなくて、吊り下げるシステムを作ってくれって言ってるわけですよ。インターネットに、たとえばさっきのミック・ジャガーの絵を300万円で出す。売れなかったらそれを下げていくというシステム。これこそがマーケットが値段を決める仕組みです。

マーケットの立場に立ったビジネス
 宝石商は1回売ったジュエリーをもう一度活かすようにするということは、基本的にやってはいけないことになっているのです。だって、活かせば活かした分だけ新しい商品が売れなくなるっていうことになるからです。次から次へと新しいジュエリーを出して、買ったものを早く陳腐化させて、次から次へと買ってもらうという、これも供給側の論理で成り立っている。
  そうすると何十万円、何百万円で買ったものが何年かすると、みんな古くなってしまうでしょ。それがご婦人の引き出しの中にゴロゴロしてるわけで、調べてみると最低でも30兆円以上あるだろうと。既存の宝石商はそれらを活かすビジネスに手をつけると新しい物が売れなくなる。ところが、われわれは最初から新品を売る必要がないので、宝石のリフォーム専門店を始めることができる。これもやはり、マーケットの立場に立たないとできないビジネスなんですね。

マーケットアウト・ビジネスを起業させていく
  世の中のビジネスは要するに供給者側の論理でほとんどができているわけですから、われわれ、起業専業企業としては、マーケットアウト・ビジネスをどんどん作っていこうと思っています。
  それもあらゆる業界でやることはいっぱいあるわけです。とくに積極的に動いてるのは、医療といったような規制の厳しかった業界ですね。急激に変わる可能性があるし、なによりも変えなきゃいけないからです。あと教育産業は今、比較的興味を持って議論しているところです。
(3月22日更新 第4話「何に投資をしていくべきか」へつづく)



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