現在は、曲がりなりにも一企業の代表取締役社長に納まっていますが、実は小さい頃から会社を作りたかったという思いを強く持っていたわけではありません。どちらかと言えば、自分は何がしたいのか、将来何になりたいのかがわからなかったほうです。
父は物静かな人でしたが、今から考えると、中学時代の父の一言が自分自身を見つめさせるきっかけになりました。まず中学を卒業するときに「お前、高校へ行くのか」と真面目に聞かれたことがあるのです。ショックでした。高校へ行くことに対してはなんら疑問を持っていなかった。それが普通ですよね。でもその一言で、「高校っていうのは行っても行かなくてもいいものなんだ」と気づかされたのです。進学以外に、自分に何かやりたいことがあれば、高校へは行く必要がないということを。
でも、その時は高校進学をやめてまでやりたいと思うことが見つからなかったので、高校へは行きました。でも「自分は自分の意志で高校に来たんだ」と言う強い思いがありました。しかし、高校時代は、好き勝手をしていました。行きたくないときは行かない、受けたくない授業は受けないなんてこともやりました。ある日、先生に呼び出されて注意されました。「受けたくない授業は受けないっていっても、それじゃあ先生のほうも気分が悪いだろう」と。確かにそうだなと納得をした覚えがあります。 |