ワタミを退職したあとはしばらく休養しようと思っていたのですが、渡邉さんから勧められて、九州にあった養殖関係の会社グループに一時関わりました。ハマチの養殖をする会社で、品質的にはイオンのトップバリュー商品に選ばれるほど評価は高かった。しかし結局は経営がたちいかなくなったのです。 企業というのは、ちゃんとした情報もとに正しい判断を行っていれば、それなりに結果を出していけるものです。たとえ悪い情報があったとしても、やり方を変えるなどで対応していくことができるはずです。その会社の場合、決定的な失敗というのはなかったのですが、たぶん小さな事の積み重ねが、結局は事業をたちいかなくさせたのだろうと思います。 振り返って考えてみると、経営者と私との間に何らかの情報の齟齬があったのかなと思っています。小さな嘘、情報の些細なデフォルメ等が積み重なっていったのではないかなと。成功していればそうしたことはすべてかきけされることなのですが、その時には逆転ホームランが飛び出すようなことは起こりませんでした。 私が経営の側に深く踏み込んでいれば、絶対そのようにはしなかったという思いもあります。しかし当時の私の置かれていた立場には、やはり限界があった。結局その会社は、大手の水産会社に引き取ってもらうことになりました。 |