ちょうどそんなとき、有限会社渡美商事(現ワタミ)を創業していた渡邉さんから、「事業を拡張するからうちの会社に来ないか」と誘われたわけです。当時のワタミは、つぼ八のフランチャイズでしたが、彼の話を聞いてそちらの会社のほうが何か可能性があるんじゃないかなと感じたのです。こうして私は創業したばかりのワタミの4人目の社員となったんです。
そのときは25歳でした。ラジエーターの設計から居酒屋への転身で、まわりには「いったいどうして」とずいぶん言われました。でも後悔はなかったですね、私自身新しいこと、経験したことがないことに挑戦するのが好きでしたから。
居酒屋というのは一つの会社と同じで、その店長を務めたことで会社というものをあらためて深く理解することができました。自動車産業にはIE(生産管理・生産工学)という考え方がありますが、これは居酒屋でもまったく同じことなんです。オーダーが入ると、どの人がどう動いていくか、どう調理して、どうテーブルに提供するか。私はそういう人の動きを徹底的に分析してシステム化しました。 |