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Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.002 株式会社 TSUNAMIネットワークパートナーズ 代表取締役社長 呉 雅俊第1話 起業精神の根幹にあるもの
コラム1“Mechanism” パーソナル・データ(1)
居酒屋でIE理論の実践を行う
 ちょうどそんなとき、有限会社渡美商事(現ワタミ)を創業していた渡邉さんから、「事業を拡張するからうちの会社に来ないか」と誘われたわけです。当時のワタミは、つぼ八のフランチャイズでしたが、彼の話を聞いてそちらの会社のほうが何か可能性があるんじゃないかなと感じたのです。こうして私は創業したばかりのワタミの4人目の社員となったんです。
  そのときは25歳でした。ラジエーターの設計から居酒屋への転身で、まわりには「いったいどうして」とずいぶん言われました。でも後悔はなかったですね、私自身新しいこと、経験したことがないことに挑戦するのが好きでしたから。
  居酒屋というのは一つの会社と同じで、その店長を務めたことで会社というものをあらためて深く理解することができました。自動車産業にはIE(生産管理・生産工学)という考え方がありますが、これは居酒屋でもまったく同じことなんです。オーダーが入ると、どの人がどう動いていくか、どう調理して、どうテーブルに提供するか。私はそういう人の動きを徹底的に分析してシステム化しました。

サービス向上が売り上げ向上につながる
 売上げというものも、客数×客単価、つまり客の入りとメニューによって決まってくるわけです。教えられるわけではないけれどそういうことがわかってくるわけです。そこでメニューが決まっているのに、さらに売上げを上げるにはどうすればいいか。これはサービスを良くするしかないわけです。たとえば料理を食べ終えた皿がテーブルにいつまでもあると、追加の注文がしにくくなります。じゃ、食べ終わった皿はすぐに下げにいこう。空になったジョッキもすぐに下げよう、溜まった灰皿もすぐに交換しようと。こうした動きがお客様にとってはサービスの向上に見える。店員がテーブルに来てくれたついでに料理を一品注文しよう、もう一杯持ってきてもらおうということになる。一人当たりの客単価を50円上げるだけで、月間の売り上げは全然違ってきます。今のワタミのサービスの原型は、そのころ作られたものです。
(4月12日更新 第2話「会社経営の深層」へつづく)



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