計画を作っている間は楽しいのですが、これを実際に行動に移すのは大変なことです。計画に自分自身が縛られていく。いくらやっても時間が足りない。眠る時間を削って仕事を続けているうちに、人間が壊れてくる気がしてきました。実はある時期、管理部門の責任者として、お金に絡む情報など会社の情報はすべて自分に集まるようにしていたのです。それらの情報すべてを自分で目を通して、判断していました。その無理が二部上場のための仕事と合わせてやってきてしまった。精神的なイライラが募ってしまって、「これはもう持たない」という状態になってしまったのです。それで自分自身が抜けても大丈夫な様に組織を作って退職することにしたわけです。私がワタミを退職したのは1998年、二部上場を果たした日の翌日のことでした。
今から考えると、当時の私自身がワタナベイズムといったものにとらわれすぎていたのかもしれません。ワタナベイズムを自らに凝縮しすぎて自分自身を苦しめていたのかもしれません。
(4月19日更新 第3話「ベンチャーキャピタルという生き方」へつづく) |