実は、その当時、自分の経験と知識を活かしてコンサルタントをやろうかと考えていたのでした。実際にいくつか面倒を見てほしいという企業もありました。コンサルタントとして独立もできたでしょう。でも、どこか特定の会社に関わってしまうと、その範囲内での関わりしか持てなくなります。また、コンサルタントというのは厚い企画書を作ればそれだけでお金が取れます。でも小さな企業に本当に必要なのは紙切れ一枚のアイデアだったりするのです。しかしそれではお金は取れない。そんなコンサルタントのやり方には疑問を持たざるを得なかったのです。
ちょうどそのころ、ワタミ時代に知り合った野村證券の新堀洋二氏(現TSUNAMIネットワークパートナーズ副社長)と何度かお会いする機会がありまして、ある日新堀さんから「実は神奈川県がベンチャー支援の制度を作ろうとしているのだけれど、どう思う」と聞かれたわけです。私は「行政がベンチャーの実情なんかわかるはずないでしょ。その前に、その制度を有効に働かせる株式会社なりのサポートがないとダメですよ」と答えたわけです。すると「じゃあその会社を作ってよ」と新堀氏に言われました。正直言うとベンチャー支援というのは、それまでやったことがない知らない世界でした。そう率直に伝えると、新堀氏は「たいしたことないですよ、大丈夫、大丈夫」と言われ、そのまま引き込まれていってしまったわけです。 |