ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の授業はハードでした。ケースメソッドは毎週大量にこなさなければなりません。そのための予習で徹夜することもしょっちゅうでした。でも金曜日の夜だけは予習を休める唯一の休息時間。気のあった仲間4、5人と、チャールズ川の向こう岸にあるハーバードスクエアでビール片手に語り合ったものです。
HBSには世界中から優秀な人材が集まっていました。出身国の期待を背負ってきているんだ、という自負を持つ人も多かった。そのせいか「卒業後はアメリカでプロフェッショナルを目指し、将来は自分の国に帰って国の経済復興に尽くしたい」などと将来のビジョンを語る人も多かったです。
しかし米国の学生達と飲んだときはちょっと違う反応が返ってきました。彼らがよく言っていたのは「将来はベンチャーを創業する」というものだったのです。当時の僕のベンチャーに対するイメージというのは、叩き上げの現場人間が創業するものでした。それなのにアメリカではインテリのエリートが「ベンチャーを興す」というわけです。起業とかベンチャーを意識したのはこの時が最初でした。
|