僕は小さな頃から小説家になりたいという夢がありました。でも、夢だけでは食べていけないですから、現実問題として就職をしなくちゃいけない。大学時代、最初に就職先として考えたのは銀行でした。そして、三菱銀行(当時)から内定を貰ったんです。でも当時英国の公使だった父の耳にその話が伝わって、すぐに電話がありました。「お前の奔放な性格が銀行に向くわけないだろう」と叱られたのです。
そこで考えたのが、小説家に一番近しいところだということで、新聞社を受けることでした。松本清張や司馬遼太郎も新聞社の出身ですし、新聞社に勤めていれば小説家になれるだろうと思ったわけです。
さて、どの新聞社がいいのかと考えたとき、わが家では朝日新聞しか購読していなかったので、朝日新聞しか頭に浮かびませんでした。また、友達の父親や父の友人が朝日新聞社にいたこともあって朝日の内定を貰うことができたのです。 |