ボストン コンサルティング グループには、サバティカル(研究休暇)という制度がありまして、仕事や研究に疲れたメンバーにリフレッシュしてもらうためのものです。米国本社のほうから、このサバティカルを社長である私に取るようにと言ってきたんです。社長が率先してサバティカルをとらないと、部下もこの制度を使いづらいだろうという配慮だったのです。
そこで、3カ月の特別休暇をとって、妻とふたりで世界一周旅行をすることにしました。旅の途中、エジプトの王家の墓があるルクソールへ寄りました。そして、予約しておいたホテルの部屋の窓からナイル川の流れを見つめていました。そうすると、濁った川の中をパピルス(カヤツリグサの一種・古代エジプトの紙の原料)が流れていくのが見えたのです。「なんとも情けない景色だな」と思って見ているその時に、ふと新しいビジネスモデルが思い浮かんだのです。
それが以前から考えていた中小企業向けのコンサルタントについてのものだったのです。「中小企業には高額なコンサルティング料を払う余裕がない。それなら料金の代わりに株で払ってもらえばどうだろう」と。この時のひらめきが現在のドリームインキュベータ社の創業につながってきたわけです。この旅がなければ、僕自身が創業することも、なかったかもしれませんね。 |