少年時代は何もスポーツにだけ明け暮れていたというわけではありません。とにかく好奇心が旺盛で、新しいことが大好きでしたから、お稽古事も習字、絵画、珠算、ピアノなど何でも手を出しました。珠算は小学校5年生で1級を取るまで頑張り、世田谷区珠算大会で小学生の部で個人優勝をしました。また、学習塾の公文式は、珠算が得意だったせいか算数がとくにおもしろかったですね。公文式は一枚一枚問題を解いて進んでいくわけですが、友達が一日に10枚くらいのところを、僕は一日に20枚ぐらい問題を解いてしまうわけです。問題を解くとさらに先に進めるので気持ちよくて仕方がなかったのです。とうとう小学生なのに中学生が習う因数分解まで終わってしまいました。
お稽古事の中で唯一、嫌だったのがピアノでした。音楽は好きなのですが「男がピアノなんて」という気持ちがあり、また、ピアノの練習をしているときに、窓の外に友達が野球をしに出かけていくのが見えるのです。それが我慢できなくて「ピアノだけは嫌だ」と親にいってやめさせてもらうことにしたのです。
ピアノは唯一の例外として、何かをやり始めてすぐに投げ出すということはありませんでした。好きなことは、集中してやればどんどん上達できるようになるものだと信じていましたので、とにかく熱中して何らかの成果が出るまでやり続けました。成果が出れば満足して、今度は次に一生懸命になれることを探し出して、またそれに熱中してしまう。これはよく考えると、今の仕事への取り組み方に似ているかもしれません。 |