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Vol.010 株式会社ネットエイジグループ 代表取締役CEO / ネットエイジキャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長  小池聡第1話 無垢な向上心
コラム(1) パーソナル・データ(1)
熱中、集中、向上心
 少年時代は何もスポーツにだけ明け暮れていたというわけではありません。とにかく好奇心が旺盛で、新しいことが大好きでしたから、お稽古事も習字、絵画、珠算、ピアノなど何でも手を出しました。珠算は小学校5年生で1級を取るまで頑張り、世田谷区珠算大会で小学生の部で個人優勝をしました。また、学習塾の公文式は、珠算が得意だったせいか算数がとくにおもしろかったですね。公文式は一枚一枚問題を解いて進んでいくわけですが、友達が一日に10枚くらいのところを、僕は一日に20枚ぐらい問題を解いてしまうわけです。問題を解くとさらに先に進めるので気持ちよくて仕方がなかったのです。とうとう小学生なのに中学生が習う因数分解まで終わってしまいました。
  お稽古事の中で唯一、嫌だったのがピアノでした。音楽は好きなのですが「男がピアノなんて」という気持ちがあり、また、ピアノの練習をしているときに、窓の外に友達が野球をしに出かけていくのが見えるのです。それが我慢できなくて「ピアノだけは嫌だ」と親にいってやめさせてもらうことにしたのです。
  ピアノは唯一の例外として、何かをやり始めてすぐに投げ出すということはありませんでした。好きなことは、集中してやればどんどん上達できるようになるものだと信じていましたので、とにかく熱中して何らかの成果が出るまでやり続けました。成果が出れば満足して、今度は次に一生懸命になれることを探し出して、またそれに熱中してしまう。これはよく考えると、今の仕事への取り組み方に似ているかもしれません。

大局観のゲーム
 僕の両親は、とても真面目な人たちです。両親からは「曲がったことはするな」「今の自分があるのは人様のおかげ」「出しゃばらない」ということを厳しく教えられました。今は仕事柄、少々表に出すぎに見られがちですが、実は「俺が、俺が」と前に出て行くのはあまり好きではありません。本来の自分は後ろに立って見ているリーダーのタイプかなと思います。
  父から教えられたもうひとつのものが囲碁です。父はサラリーマン(上場企業の役員)でしたが、日本棋院五段の囲碁の名人でした。日曜日の昼前になるとNHKの囲碁番組を見て、見終わると今見た対局を最初から最後まで一つも間違えずに再現していました。子供心にそれを見てすごいなと思っていました。
  そんな父から「お前も囲碁をやってみろ」と勧められ、始めたのです。囲碁というのは基本的に大局観のゲームです。小さな陣地を取り合っているように見えながら、実は大局観や戦略を持って、いかにして自分の陣地を大きくしていくかということを争います。自分の石で囲んだ陣地のことを囲碁の世界では「地」というのですが、このわずかな地を取るために、細かなせめぎ合いに気を取られていると、別の地を取られてしまうこともあります。つまりミクロな一点ばかりを見ていると、全体が見えなくなって負けてしまうというわけです。ですから常に一部分を見ながらも別の場所、また別の場所という具合に全体も見なければならないのが囲碁というゲームなのです。
(12月13日更新 第2話「起業精神一直線」へつづく)



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