そんなある日、iSiDの社長がニューヨークにやってきた折りに、米国のネットビジネスの現状を話し、その現場を案内しました。そして、その場で「ネット企業に投資インキュベーションをする会社を作りたい」と社長に直談判をしたのです。答えは「やってみろ」でした。こうしてできたのがネットイヤーグループInc.です。それまでiSi電通アメリカの事業部でやっていたネット関連の投資やコンサルティングという事業を、一つの会社として独立させ、本格的なビジネスとして取り組むことができるようになったのです。そして、僕はこの会社の社長をやることになりました。
会社を作るにあたって担当役員に出した要望は「駐在員は必要ない」というものでした。通例、日本から駐在員が来ても、ほとんどは3年くらいで帰国してしまいます。仕事を覚えた頃に抜けられるのは痛手ですしコストがバカにならないので、社員は優秀な人材を米国で雇用したいと思っていたのです。もう一つお願いしたことは「僕自身この会社にコミットしたいので、ずっと米国にいたい。できればこの会社に転籍したい」ということでした。
さすがに転籍の許可は降りませんでしたが、人材採用については僕の希望を聞いてもらえました。僕は、大手のコンサルタント会社にいた友人などに声をかけるなどして陣容を整え、本格的に事業を始めました。 |