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第3話 第4話
Vol.014 ベスタクス株式会社 社主 椎野秀聰第4話 美徳の経営
コラム(4) パーソナル・データ(4)
ルーツは起業家
 私の4代前になる初代椎野正兵衛は、自分の富のためではなく社会のために仕事をするという心意気を持った起業家でした。初代正兵衛は明治の初期、日本で初めて絹製品をブランド化してヨーロッパに広めました。それだけではなく社会の問題や矛盾を起業家の目で捉えて、「人々に職を与えよう」といった理念をもとに産業を興した人物です。たとえば一宮の繊維街、八王子のネクタイ産業、桐生の織物街は生活している人々に職を与えようと正兵衛が工場を造ったのが始まりです。
  実は私自身、初代正兵衛については、つい最近まで正確には知らなかったのです。NHKテレビの番組で正兵衛の生涯を知り、大変な業績を残した人物だったと知ったのです。
  その番組を見て、絹の世界に男のロマンも感じました。そこで2002年、それまで蓄えたお金をつぎ込んで、椎野正兵衛商店を再興したのです。目標は「世界一の絹製品を横浜で再現する」ことです。私自身、心意気という点で及びませんが、初代の正兵衛と似ていると感じているところもあります。ですから正兵衛の事業を再興しようと決断したのもDNAのようなものかもしれません。


日本人よ、美徳を

 ユダヤ人は「企業は罪」だと思っているそうです。企ては罪だという思想があるから利益の10%を教会や慈善団体に寄付しています。しかし現代の日本の企業家でそのように考えている人は皆無でしょう。とにかく何が何でも会社を大きくして利益を出せば良いと思っている人が多すぎます。
なんでも経済優先でマニュアル化と効率化だけを求め、日本にあった大切なもの、美徳が消えてしまっている。戦後の経済復興の時期ならば良かったのでしょうが、ある程度豊かになった時点で、オートマモードにしなければいけなかった。それを6速、7速とギアを入れ続けたものだから今は12速ぐらいになってしまって後戻りできなくなっている。
町もその影響でしょうか、特に東京など気の休まる町ではなくなってしまった。日本の企業家はもう一度自分の足下を見て、一番尊いものは何なのか、日本の美徳とは何であったのかを考えてほしい。そう思っています。

次号(2007年5月2日発行)は、早稲田大学ビジネススクール教授 商学博士の松田修一さんが登場いたします。




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