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Front Interview
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Vol.015 早稲田大学ビジネススクール教授 商学博士 松田修一第3話 成長の要因
コラム(3) パーソナル・データ(3)
行動しながら考える
 サンワ事務所大阪支社では、まさに馬車馬のごとく働きました。そのせいで体をこわしてしまった。私の仕事ぶりを知っていた医師からは「ストレスと運動不足が原因です」と指摘されました。それ以来ジョギングを始めたのです。東京本社に戻ってからは、予備校時代の友人が営むバーで一緒になった広井武昭弁護士に誘われて弁護士会のジョギングサークルに入り、毎週一度は皇居を一周していました。
  ジョギングを始めて6カ月ぐらい経った頃でしょうか、広井さんから「青梅マラソンに申し込んでおいた」と言われたのです。私はびっくりしました。それまで最高でも5キロしか走ったことがなかったのですから。普通なら「無理だ」といって断るでしょう。しかし私は大丈夫だろうと挑戦し、実際に走りきりました。以来家族までもマラソンにのめり込み49歳と50歳の時に宮古島250キロのトライアスロンをはじめ数々の大会に参加するようになりました。
  困難に直面したときに一歩前に出る人間と、失敗したくないと一歩引く人間がいますが、私は前者のタイプです。まずは前に出て行動しながら考える。さらに「他の人にできるのだから自分にできないわけがない」と、前向きに考える人間でもあります。私は仕事でベンチャーの社長にインタビューをしていて、とても楽しいと感じるのは、それはベンチャーの社長が「挑戦する人」であり、一歩前に出る性格の人だからでしょうね。

企業の成長、起業家の成長

 ベンチャーという言葉は1971年に誕生しました。1997年にベンチャー学会を立ち上げた清成忠男(現法政大学学事顧問・元法政大学総長)先生などが使われた和製英語ですが、当時は「そんな言葉はない」と学会からコテンパンに叩かれたものです。私自身も30歳からサンワ事務所でベンチャー企業と関わりを持つようになりました。多くのオーナー会社、創業企業と経営監査を通じておつきあいができたのです。
  さらにより多くのベンチャー企業と関わるようになったのはJAFCOとの出会いがあったからです。サンワ事務所とJAFCOの関係は、事務所がJAFCOの会計監査を担当していたことから始まりました。その仕事を手伝うことで、ベンチャーキャピタルとしてのJAFCO自身の成長過程を見ることができましたし、JAFCOと関わって、リスクは高いが急成長するベンチャー企業を数多く見ることもできたのです。
  サンワ事務所時代におつきあいができた会社に、新潟に本社を置く株式会社コメリがあります。今は年間売り上げ2,500億円の企業に成長しましたが、始まりは私が33歳の時、コメリの売上高が約2億円の頃からです。コメリの社長(捧賢一現会長)は詩も書く多才な方ですが、その息子さん(捧雄一郎現社長)が私のゼミの学生になったこともあり、つきあいが深まりました。コメリのように創業当時からおつきあいのある会社が成長して数百億円、数千億円の企業に成長していく姿を見るのは嬉しいかぎりですね。




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