とはいっても、これからの日本を悲観的に見ているわけではありません。ベンチャー輩出によってリカバリーショットが打てるのではないかと希望を持っているのです。今は日本の省庁でベンチャーに関わっているところが4つあります。ベンチャーを支援する仕組みもできつつあります。しかしこの1、2年はそれを阻害する動きも出てきています。私はベンチャーを支援する点を面に広げていくこと、自分も出て行って先頭になって支援したいと考えています。
ベンチャーだからといって諸手を挙げて支援するのではありません。中には多くの問題を抱えている企業もあります。「志の低い人」が経営する会社もあります。志の低い人とは、たとえば株式公開を最終目標にしている社長です。株式公開は社長にとっても社員にとっても、そして株主にとっても大変ハッピーなイベントです。しかしそのイベントが最終目標では、その後はありません。
私はベンチャー企業の公開前後10年間を調べたことがありますが、企業が公開後に成長するかどうかは公開前5年間の行動を見ればすべてわかります。株式公開を目的にして「公開などたいしたことはない」と言っていた会社は、公開後はなかなか伸びていません。株式公開を企業体質を変えるチャンスとして活用し、次の10年に備える企業が伸びているのです。公開時に、企業がさらにその5倍まで成長することをイメージできるかどうか、経営者がそうした強い意志を持っているかどうかが、その後の企業の成長や株価を左右するのです。
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