いまの私の仕事はファンドへの出資です。現在、ベンチャー・キャピタル、金融機関、地方自治体などと協力して、ファンドの数は110本あります。また出資するだけでなく、ハンズオン支援、インキュベータ、創業・ベンチャー国民フォーラム、マッチングや販路開拓、再生や事業継続、産学官連携など、我々が行っている事業を通じて案件も発掘しています。個々の企業もキャピタルも、新しい分野や試みへの挑戦があり、それを見極める仕事です。いたずらに慎重にならず、市場、事業モデル、経営者のよい点をみます。同じものは2つとありませんし、個々の工夫や良さを見つけにいくところがクリエイティブと思います。 私たちのファンド事業には、一般のファンドに加えての要請もあります。たとえば、ベンチャー向けのファンドでは、今後のイノベーションを牽引する分野としてバイオも支えつづけますし、テクノロジー系では収益性が見通しにくい事業の初期段階に、コンテンツでは中小事業者の販路での地位を支えることで活力を活かす、また、東京に偏りがちなこの業界で地域の光る企業を世界につなげる、などの目配りが求められています。キャピタルについても、独立系のキャピタルがもっと輩出するよう、我々の制度を通じて後押しができればと考えています。我々の事業には、このような、政策的な要請があるわけです。 もちろん、収益性が確保されることは前提条件です。ただ、政策的な価値を上積みする分、単純に利回りといった成績だけでなく、経済や社会への寄与の面も表示できるような複線型の評価が必要であり、独自の指標を加えるなどこれからの課題と考えています。 |