あらためて、ベンチャーならではの役割は何か。個人も組織もそうですが、産業、経済、社会のなかで、他にできない役割をみつけ、それを果たすことで存続できるわけです。我々自身は、ファンド事業、創業・ベンチャー推進課の設置、今年度から「創業・ベンチャー国民フォーラム」の事務局などをしています。今年の初めには、ファンド事業の意義を確認して評価を行う有識者の会を設けました。夏から秋には報告書をまとめます。 また何より、ベンチャーを伝統的な中小企業と対比しつつとらえる視点も、中小機構の「ならでは」として、大切にしたいと思います。業界も世間も、ベンチャーを、テクノロジー系と同義に狭く考えがちです。ベンチャーであることの独自性が立証できなければ、中小企業の部分であるかも知れないわけです。 ベンチャーやキャピタル業界への期待は、個々の経営に尽力されていることは前提として、自ら働きかけて経営環境を作りだしていくことです。それには、業界横断的な取り組みも重要です。この業界で、よく「志」といいます。自分の、自社の、周囲の関係者の、で終わるのではなくて、社会を大きく動かしていくという大きいスコープ。内向き発想ではなくて、世界や社会からの視点で志を立て、それを形にしていきたいものです。
次号(2007年8月1日発行)は、グラムコ株式会社 代表取締役社長の山田敦郎さんが登場いたします。 |