ベンチャーキャピタルの皆さんと知り合うようになってわかったことが、素晴らしいベンチャーキャピタルの周りには、素晴らしいベンチャー企業が集まっているということでした。将来性のあるベンチャー企業を個々に探すのもひとつの方法ですが、それ以上に優秀なベンチャーキャピタルとの関係を構築する方が、いいベンチャー企業発見の確率が高まることに気づいたのです。この発見の後は、ベンチャーキャピタルとの良好な関係づくりにも力を注ぐようにしました。
その頃日本IBMの中でベンチャーの世界、とりわけベンチャーキャピタルと深い関わりがあったのは実質私だけでした。ある日、当時の常務の木村正治さん(現・アッカ・ネットワークスCEO)から「米国本社でベンチャーキャピタルグループができた。これは勝屋君に最適の仕事だと思うからやってみないか」という話がありました。Venture Capital Groupというのは2000年にルー・ガースナー(前IBM CEO)が設立したIBMコーポレーションのグローバル戦略チームの一つです。ネットジェンで私が気づいた「優れたベンチャーキャピタリストのもとには、素晴らしいベンチャー企業が集まる」ことを米国本社でも早くから気づいており、この関係を中長期的にビジネスに結びつけようと組織されたものでした。
グループはベンチャー企業への直接投資は基本的に行わず、ベンチャーキャピタルとの良好な関係を構築し、それを梃子にして将来性のあるベンチャー企業を発掘したり、ベンチャー企業とIBMとのパートナーシップを築いていくこと、そして市場がいまどうなっているのか、将来どうなっていくのかを把握することを狙いとしていました。このVenture Capital Groupのメンバーは世界で約30人います。メンバーは米国がいちばん多くインドのサポートも行っています。あとはヨーロッパにも拠点があり、まさにグローバル組織です。
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