そこは社員が100人ほどで、アルミ製のベランダやテラス、駐車場の屋根などを訪問販売している会社でした。そこで面接官から「工事部はもう定員になったから営業部に入らないか」と言われたのです。私自身は営業の仕事などつとまらないと思ったのですが、他に仕事の当てがあるわけではなく、とにかくやってみようと思い入社することにしたのです。工事の仕事をするつもりが営業マンになってしまったのです。
会社には入ったものの、最初のうちは自分に営業ができるとは思っていませんでした。しかも社員の中では私が一番若かったので「体力では絶対に負けない」「気合いと根性だけは負けないぞ」と決意して仕事に取り組みました。事務所の壁には営業マンの売上げグラフが貼り出されてあり、それを見て自分も良い成績を残そうと決心しました。
とはいってもそう簡単に商品が売れるわけはありません。訪問するたびにお客様には断られ続けました。しかし、あきらめることなく、雨の日も、風の日も、暑い日も、寒い日も家々を訪ねて回りました。私は他の人より一軒でも多くの家を回ろうと、他の人が歩いているところを、家から家へと走って回りました。一軒断られると他の人は「次もダメじゃないか」「次も断られるかもしれない」と思うのでしょうが、私は気持ちでは負けたくないと思い、へこたれず次から次へと家の呼び鈴を押しました。
(11月14日更新 第2話「千載一遇」へつづく)
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