その時私は17歳でした。そこで、今度は電話では年齢を言わずにある会社の面接に出向きました。面接が進むにつれ。当然年齢が問題になりました。そして、面接官だった課長から採用を断られました。私はどうしても働きたいと思っていたので「上の人と話をしたい」と言いました。それで課長から部長、副社長と順番に出てきてもらったのですが、その度に断られます。その気配を察したのでしょう、奥の部屋から社長が出て来ました。私は「採用して欲しい」と社長に訴えたのです。そこで社長が「私が責任を取る」と、見習いということで採用が決まったのです。それが株式会社近畿設備でした。
近畿設備を選んだのは東京で1年半の営業経験のある「住宅」に関係のある事業を営んでいたからです。東京ではエクステリア関係の訪問販売でしたから、今度はインテリアやリフォームなど家の中のものを売りたかったというのがあります。近畿設備は換気扇のフィルターが主力商品でした。
換気扇のフィルターの販売は、はじめて見るととても売りやすい商品でした。また、実際にお客様の家を訪問して売るまでのプロセスは同じだったのですが、ある時、契約を結べたお宅で、お客様に玄関まで送っていただき、「こんな商品があって良かった」と喜んでいただき、「ありがとう」とまで言ってもらえたのです。それ以来、「こんなに良い仕事はない」と仕事に励めるようになりました。前職では、嘘にならない程度に商品を良く見せることばかり考えていましたから、商品が良ければ売って感謝されるし、自分は良いことをしているという快感を味わえることに目覚めたのです。
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