母親が敬虔なクリスチャンだったからでしょうか、小中高とカトリック系の雙葉に通いました。小学生までは教会へミサにも行っていたのですが、中学2年生くらいからシスターや学校の先生に反抗するようになりました。お嬢様学校でしたから、勉強はもちろん礼儀作法にも大変厳かったのですが、教育方針の一つにあった「いい母親になる」ということには疑問を持ちました。女性だからといって必ずしも母親になるとは限らないわけですし、勝手に決め付けないでほしいと反発したわけです。そのころですが「カトリック要理にいうところの神様がいるなら今すぐに証明してください」といって、シスターたちを困らせたこともあります。
その当時は70年安保やベトナム戦争の影響もあって、小田実さんや開高健さんの著書を読んだり、マルクスやサルトルにかぶれたりして、お嬢様学生とは縁遠かったと思います。クラスメートから見れば変わり者に映ったでしょう。シスターや先生はさぞ手を焼いたことでしょうし、優等生ではなかったと思います。
これは社会人になってから知ったことですが、私が雙葉小学校に入学して間もないころに、父親の経営する会社が立ち行かなくなったそうです。父親はMSシュレッダーの前身になる会社を友人たちと起業したのですが、仲間の裏切りにより会社を解散せざるを得なくなったのです。それで母親が娘の学費もあるからと、父親にサラリーマンとして働いてほしいと頼み込んだようです。それから父親は荏原製作所でサラリーマン生活を送ることになるのですが、ほんとうは自分で新規に事業をやりたかったみたいでした。感謝する反面、申し訳ない気持ちもあります。
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