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Front Interview
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第3話 第4話
Vol.034 アドベック CEO ブルーノ・ラシュレ第4話 心をひらく
パーソナル・データ(4)
ディスカッションを重ねる
 幸いなことにこれまでアドベックは、顧客との間に長期にわたる信頼関係を築くことに成功しています。ロイヤリティの高い投資家の方とのお付き合いがあり、それが大きな特徴になっています。具体的には、UBSやダイムラーの年金プラン、BP(ブリティッシュ・ペテロリアム)などといった方々と長いお付き合いをさせていただいています。
 資金調達の第一段階としては、まず投資家の方とじっくりお話しをします。彼らの求めているものは何かということを聞いてから私たちが提供している商品の説明をします。大切なのは、具体的な商品の話に入る前に、こうしたディスカッションを重ねることです。そして通常は、それらをドキュメントにまとめて、フリーマーケティングを行い、さらにマーケティングを行うという流れで進めていきます。顧客との間に長期にわたる信頼関係を築くための基本は、胸襟を開いた会話をすることがです。そして、結果をしっかりと出していくことです。それによって、次の新しい商品に参加してみよう、ここなら大丈夫という安心感を持っていただけるわけです。
 私たちがお付き合いさせていただいている投資家の方は、社内にプライベートエクイティチームを持っているところが多いのが特徴です。社内にそうしたエクイティチームを持っていたとしても、もう少し投資の幅を広げてみよう、もっと効率よく投資してみようという形で、外部にパートナーを求め、その相手として私たちを選んでもらっているというケースが多いのです。

グローバルベンチマーキング
 ファンドの投資先については、資金調達を始める前に徹底した調査を行い、プロフォーマ・ポートフォリオを事前にまとめ、投資家の方々に説明します。話を持ちかけた段階で、投資内容については、しっかりした情報として掴んでいただくようにしています。逆にいえば、資金調達に行く前に、そうしたプランをしっかりまとめることが非常に重要になるのです。プロフォーマ・ポートフォリオをまとめるに際しては、マーケットアナリストがしっかりとした分析を行わなければなりません。他にも、マネジャー・ユニバース、プレースケイパブルキャパシティなどの計算をしっかりと行わないと、プロフォーマ・ポートフォリオはまとめることができません。
 私たちの最大の強みは、グローバルベンチマーキングを行っていることだと思います。これは、例えば日本でファンドマネジメントをしているのであれば、日本国内の投資であっても、リスクとリターンの分析を行って、その結果が米国やヨーロッパなど、グローバル規模で同じ指標を満たしているかどうかを徹底的に検証することです。そういうスタンスからすると、どこの国に注目するかというと、すべての国に注目していきます。さらに産業についても、各業界・各セクターそれぞれについて、異なる特徴というものがあり、プロフォーマ・ポートフォリオを作成するにあたって、各業界がどれだけ強固な基盤を持っているかをきちんと精査した上で理解することが重要だと考えています。
 確かに私たちのポートフォリオは、バランス、強靱さ、最適化を図っているという点で、全体的にバランスのとれた投資を行っているということになるでしょう。逆にいえば、タイム・ザ・マーケット、つまり投機的な目的だけで投資をする、あるいは将来のキャピタルマーケットの推測だけで投資するということは一切していません。



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