みなさんは「百匹目の猿現象」をご存知でしょうか。昭和23年頃、宮崎県串間市の幸島に生息していた猿を対象に、京都大学の研究者が生態研究を始め、その一環としてサツマイモの餌付けを試みたことがあります。しばらくして面白い現象が起こりました。一匹の若いメス猿が川の水でイモを洗って食べ始めたのです。こうするとイモについた泥が取れて、食べやすくなり、塩味も付くのです。それを見ていた仲間の猿が次々に真似をして、イモを洗ってから食べるようになり、「味付け」行動も日常的に見られるようになりました。ところが、さらに時間が経過すると、今度は遠く離れた大分県の高崎山の猿たちが同じようにイモを洗って食べ始めたのです。
この現象は、「誰かがどこかで良い行為をして、それと同じ行為をする人数がある一定数を超えると、時空を飛び越えて他の場所にいる同類に伝播する」というもので、動物学者のライアル・ワトソン氏が「百匹目の猿現象」と命名したのです。そしてイギリスの有名な生化学者ルパート・シェルドレイク博士がこれを裏付けました。私はこの現象を知ってから、世界が理想の世の中に好転する希望を持つことができるようになりました。
私は、この理論が人間にも当てはまるのではないかと考えています。誰かが正しい行為をすれば身近な同胞に波及し、その結果として社会全体にその行為が伝わります。そのためには一人一人が率先して、正しい行為をすることです。そうした日本人の仲間を5,000人一カ所に集めることが私の最初の使命と悟り、オープンワールドという催しを1994年から10数回も行ってきました。
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