【森本】 3年間での投資実績の成果はいかがですか。
【以頭】 まだ、全部は公表していませんが、投資した企業は16社あります。内4社に追加出資をしていますので、出資件数としては20件になります。今のところ、IPOはまだありませんが、倒産した企業もありません。来年度には1〜2社の上場を目指しています。
【森本】 投資先への支援育成についてはどのようにされていますか。
【以頭】 正直にいって、まだ十分といえるほどにはうまく関われていないと思います。取締役に入っている会社もあれば、そうでない会社もあります。本当に深く関わるには、やはり、取締役に入ることが必要だと痛感しています。取締役にならないと会社の状況をつかめませんからね。
【森本】 投資先の価値向上に向けた施策はどのようにされていますか。
【以頭】 我々は日立グループのリソースを使ってベンチャーを支援するわけですが、我々の立ち位置は、日立グループとベンチャーの中間だと思っています。日立側がベンチャーに圧力をかけてくることがあったとしたら、我々は、その防波堤にならなければなりません。投資先の価値向上も、そういう視点で大きな視野に立って、投資先の立場を大事にしながら事業拡大を支援することだと思います。
【森本】 ネクスト・ハンズオン・パートナーズの独自性を生かした2号ファンドは考えていらっしゃいますか。
【以頭】 まずは、いまのファンドで実績を示さなければと思っています。ある程度これがワークすることが証明されれば、2号ファンドの話もできると思います。2号ファンドでは中小企業基盤整備機構だけでなく、他の出資者を募ってファンドのコンセプトを変えてみることも考えています。IPOの実績がいくつかできてきて、ハンズオンの手法が確立されて、日立グループ内でベンチャーと連携することが重要だという認識ができてからのことです。しかし、私は、そんなに遠い将来のことではないと思っています。今後も、日立グループにとって、何らかのファンド展開をすることは非常に重要なことになるはずですから。
【森本】 イグジットはIPOだけですか。
【以頭】 一番分かりやすいのはIPOですね。あるいは、M&Aや売却ということもあると思います。とにかく、数字で結果が出ることが成果を示すにはわかりやすいと思います。しかし、投資先がIPOする以前でも、日立との事業連携が実を結んで、いち早く世界に先駆けた商品やサービスを提供するというのも、良いパターンだと思います。ベンチャーと日立にとって何が良いことかを考えて、イグジットを目指したいと思っています。
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