【森本】 グロース・キャピタルの展開を始めて2年の間に、どのような変化が出てきましたか。
【吉崎】 当初、我々のチームでは、グロース・キャピタルをマイノリティ投資でやることを目指して立ち上げたものだったのです。ところが、いざ蓋を開けてみると、バイアウトの案件が結構多く入ってきたということがあります。ただ、先ほどからお話ししているように、バイアウトといってもレバレッジだけでなくて、成長シナリオを見るバイアウト投資をしていこうという流れになってきたのです。そして、そうした看板を掲げてやっていくと、そういう案件が意外に多いということが見えてきています。これが一つの変化になります。それから、投資案件を見ていくと、思いの外、中堅企業でも、主にアジアですが、海外とのつながりを持つ企業が多いことが分かってきました。そうすると、我々のアジア展開が、非常にフィットしてくるわけです。アジアのプラットフォームでやっていることの意味を実感するようになりました。
【森本】 投資先に変化はありましたか。
【吉崎】 2年間での投資先は、実は1件だけです。昨年4月に投資した仲谷マイクロデバイスだけです。とはいえ、アジアでの活動が始まったのは2006年の初めごろですから、最初の1年で1件の投資というのは、チームとしては予定通りの展開です。そして、今年には、大きい案件が待ち構えていまして、今動き始めているところです。
【森本】 審査している案件はどれくらいの数になりますか。
【吉崎】 2年でだいたい200件から300件くらいです。
【森本】 業種や分野ではどのような傾向にありますか。
【吉崎】 テクノロジー関係、製造業、IT・通信系が多いですね。最近は小売、サービス業の案件も増えてきています。
【森本】 紹介が多いのですか。
【吉崎】 ほとんど紹介です。個人のネットワークから入ってくる案件、会社の経営者ルートや金融機関からの紹介が多いです。あとは、カーライル・ジャパンのバイアウトチームとの共同検討案件も増えていますね。
【森本】 経営者ルートとはどういうものですか。
【吉崎】 具体的にいうと、私の場合は新興企業が最近多いですね。事業がうまくいかない相談を受けたり、逆に前向きに企業を大きくするためのスキームの相談だったり、そういう話から案件が広がっていきます。これまでの経験で蓄積されたルートですね。
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