【森本】 そのチームにはどのような人々が集ったのですか。
【金子】 実は私自身は、2002年に、ベンチャー企業向けのインキュベーション・オフィスを提供する株式会社アップステアーズという会社を起業しています。このビジネスは、現在でも六本木、赤坂、本郷、渋谷の4拠点で100社くらいの起業家の方々にスペースを提供して展開中ですが、会社自体は2005年にネットエイジグループに売却して、私自身もネットエイジグループに参加するようになりました。ネットエイジでは、私が起業する以前にベンチャーキャピタルの経験もあったことから、ネットエイジキャピタルパートナーズの事業にも関わっています。グループ内には、私と同様に起業の経歴をもってグループに入ってきた者がいます。その起業経験者を集めて起業を支援するチームを作ったのが、チームビルディングのプロセスです。起業経験のある人間がベンチャー投資している点が、当社の特徴になります。
【森本】 金子さんはどのような経歴をお持ちなのですか。
【金子】 大学卒業後に、リーマン・ブラザーズ証券会社に就職しています。そこでは、投資銀行本部に配属されて金融機関の資金調達や事業法人のM&Aに従事していました。日系ベンチャーキャピタルのシンガポール現地法人の立ち上げに携わったり、また、シンガポールで投資活動や資金調達も行っていました。米国シリコンバレーに行っていた時期もありまして、ドレーパー・フィッシャー・ジャーベットソンというベンチャーキャピタルで、唯一の日本人投資担当者としてアジア太平洋地域の投資活動に従事していたこともあります。2002年に日本に帰ってきてからは、先ほどお話した株式会社アップステアーズという会社を設立してインキュベーション・オフィスのビジネスを始めました。そして、ネットエイジにお世話になり、現在のベンチャーキャピタル事業を進めています。
【森本】 ngi capitalの投資チームに集った起業家の方たちはどういう人たちなのでしょう。
【金子】 現在は人員も入れ替わっていますが、当時集まったメンバーは、私のほかに、日本で3番目にソーシャル・ネットワーキング・サービスを立ち上げた人物と、CFOをシンジケーションしたような会社を作った人物などです。ベンチャーキャピタル業務の経験者が少ないベンチャーキャピタルです。
【森本】 起業経験者がメンバーに集まったことで、どういうメリットがありましたか。
【金子】 現在、我々が設定している投資対象は、基本的にはアーリーステージのベンチャー企業です。とりあえず、事業計画があって、何人かのマネジメントスタッフがいるものの、まだ商品ができていない段階で、当然、まだ売上げが立っていない段階の企業が中心です。投資に至るまでには、そのベンチャー企業と一緒になって事業計画書を作らなければなりません。そして、投資をした後には、その事業計画書とズレが生じたときに、その原因を探って軌道修正を行ったり、計画の見直しをするなどして関与するわけです。一緒に事業計画書を作って事業を推進するには、いろいろなビジネスを実践してきた経験が有利になります。他のベンチャーキャピタルではなかなかできないことだと思います。メンバーがいろんなバックグランドを持っているので、その事業の信憑性の判断や実現性を考えるなど、いろいろなリソースを活用することが可能になります。
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