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VC vision
前編 後編
第28回 ベンチャー共和国 前編 ビジネスアイデアの熟成
コアピープル・パートナーズの本間真彦氏は、
一人で立ち上げたファンドを通じて、
独自の投資観のもとにベンチャー投資を展開している。
そのスタイルは、本間氏自身が作り上げたビジネスアイデアを
ベースにして事業化を進めるというとてもユニークなものだ。
じっくりと時間をかけて起業家と
新しいビジネスモデルの確立に向けた議論を行い、
おたがい納得した上で、新規事業を立ち上げる。
その投資スタイルに込められた本間氏の投資哲学に迫った。

interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
主な投資先事例
小さく意思決定して入口から出口まで関わる

【森本】 まずは、コアピープル・パートナーズ設立の経緯からお話いただけますか。
【本間】 大学卒業後の1998年に就職したジャフコでは、海外投資の事業部に配属されました。その部署にはベンチャー座ですでに取材されているリード・キャピタル・マネージメント代表取締役の谷本徹さんや、GMOベンチャーパートナーズ取締役の村松竜さんがおられ、その部署の統括の取締役が現在の日興アントファクトリーの代表取締役の尾崎一法さんでした。その意味では、いろいろな方がいるチームにいきなり放り込まれた形で、私のキャリアがスタートしたといえます。
【森本】 当時はちょうどインターネットバブル直前のころですね。
【本間】 はい。私の業務は、シリコンバレーの投資部隊が投資した案件を、日本で事業展開することでした。代理店との契約や営業プロジェクトを立ち上げたり、また、日本法人を立ち上げることをメインに行っていました。いわば、商社のような仕事をずっとやってきました。そうした事業を進めていくうちに、事業運営の仕組みをもっと体系的に勉強したいという思いが強く出てきました。そこで、ネットバブル崩壊後の時期に、外資系のアクセンチュアというコンサルタンティング会社に転職しました。アクセンチュアにはベンチャー投資のアライアンスなどを行っている投資部隊があって、そこに2年ほどお世話になりました。ここでは、クライアントとのジョイントベンチャーの設立や、アウトソーシングの案件への投資などを主に展開していました。
【森本】 そしてワークスキャピタルへ移られたわけですね。
【本間】 はい。アクセンチュアでは本社直轄の部署にいたので、方針が上から降りてくるため、私がやりたいと思うことがあまりできない状況にあったからです。また、そのころには私もベンチャーキャピタルのキャリアをもう少し本気で追求したいという気持ちが強まっていましたので、ブティック型のワークスキャピタルに入ることにしたのです。
【森本】 どういうきっかけでワークスキャピタルに移られたのですか。
【本間】 パートナーに、2名ほど旧知の人物がいた関係です。2003年の1月のことです。当時は、メンバーが6人いました。現在は4人の少数精鋭の体制でベンチャー投資をしています。小さく意思決定して入口から出口までに関われるという、本来、私が求めていた事業体制であることが、入社した大きな動機になります。

創業に特化するファンドを作りたい

【森本】 ワークスキャピタルは、三菱商事の資本の企業ですね。
【本間】 はい。ここでは、三菱商事のイノベーション事業本部が管轄するファンドの運営をしています。主に中国、韓国、それから、日本のIT系ベンチャーへの投資を行っています。ワークスキャピタルには、大きなパフォーマンスをあげている投資先企業が2社あります。一つは、創業時から投資していて2006年12月に上場したMonotaRO社です。これは、住友商事と米国のグレンジャー社によるジョイントベンチャーにワークスキャピタルが出資している企業です。もう一つは、三菱商事とワークスキャピタルが共同出資してスピンアウトさせたベンチャーリパブリック社です。この2社が大きな成功を収めている状況を見たときに強く感じたことは、ベンチャーの創業時から投資した場合のリターンの大きさです。この経験から、自分で事業を立ち上げたり、創業のポジションにあるベンチャーに投資をすることが、私自身が取り組む方向性として固まっていったということがあります。2006年くらいから、創業を目指している案件といくつか接触することができるようになったことを受けて、2007年に「コアピープル」という創業に特化した育成型ファンドを立ち上げました。
【森本】 コアピープルは、会社として独立させたものですか。
【本間】 投資事業有限責任組合です。事務所はワークスキャピタル内に置いていますが、独立体として資金を集めています。ただ、ワークスキャピタルのファンドが設立から8年目にあって、満期までの残りあと2年弱については、私も関わっていくことになっています。ワークスキャピタルのインターネットやソフトウェアに関係する主要な投資案件は継続して担当しています。
【森本】 ワークスキャピタルのファンドは三菱商事の100%出資なのですか。
【本間】 LPは、三菱商事を含め、国内大手機関投資家、事業法人からの出資を受けています。
【森本】 本間さんが、コアピープルで独自のファンドを立ち上げたのは、どのようなきっかけからですか。
【本間】 先ほども申しましたように、私自身の希望にインキュベーションの仕事に関わっていきたいというものがありました。また、そうした創業からの投資のほうが高いパフォーマンスが上がったということもあり、創業に特化するファンドを作りたいという考えがありました。私の年齢ですぐに資金を集められるものでもなかったのですが、2005年、2006年ころになって、IPO環境、ネットビジネスの起業環境の変化もあり、そういうファンドになら出資したいという話を投資家からいただける状況が生まれてきたということです。




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